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「フリマアプリで見つけたニューバランスが相場より安い。これ、本物でしょうか」——店頭でもよく聞かれる質問です。実物を持ち込んでもらえれば触って確かめられますが、画面越しの写真だけで判断するのは、鑑定のプロでも慎重になる領域です。
先に結論をお伝えします。ニューバランスの偽物を見抜くうえで効くのは、「1カ所の決定的な証拠を探す」やり方ではなく、シュータン裏のタグ・アウトソールの刻印・箱のラベル・品番と生産国の整合という4系統を突き合わせて、矛盾が出ないかを確かめるやり方です。偽造の精度は年々上がっていて、単独のポイントだけで白黒つけようとすると外します。
そしてもう一つ。届いてから見分けるより、買う前にサイトと出品を見極めるほうが、はるかに成功率が高いという現実があります。国民生活センターが公表している「偽サイトかどうかのチェックポイント」は、靴を1ミリも触らずに危険を回避できる実用的なリストです。
この記事では、タグ・ソール・箱・品番という現物のチェックポイントを順に整理したうえで、買う前に効く見極め方、そして万が一つかんでしまったときの動き方まで通してまとめます。日本の税関が公表している靴類の差止データや、2022年10月に変わった個人輸入のルールにも触れます。
・シュータン裏タグ/ソール刻印/箱ラベル/品番と生産国、4系統の照合手順
・ブラックライトのNB発光を「決め手」にしてはいけない理由
・国民生活センターが示す偽サイト7つのチェックポイントと、支払い方法別の危険サイン
・偽物が届いたときの対処と、2022年10月から変わった個人輸入のルール
ニューバランスの偽物の見分け方は、1カ所では決まらない

「決定的な1点」を探すほど外れやすくなる
偽物を見抜くコツを聞かれたとき、最初にお伝えするのは「1カ所で判定しないでください」ということです。理由ははっきりしていて、偽造品は年々「見られやすい場所」から順に精度が上がっていくからです。シュータンのタグが精巧に作られた個体でも、アウトソールの刻印の彫りの深さや、インソール裏のフォントまでは再現しきれていない、というケースが実際に報告されています。逆に、ソールは似ているのにタグの印字がぼやけている個体もあります。つまり、どこが甘いかは個体によってバラバラなのです。
実務的には、タグ・ソール・箱・品番の4系統をそれぞれ確認して、「すべてが矛盾なく揃っているか」を見ます。1系統でも説明のつかない食い違いがあれば、そこで判断を止めて購入を見送る。これが素人がとれる一番現実的な守り方です。逆に、1カ所だけ本物らしく見えたことを根拠に安心してしまうのが、いちばん危ない使い方になります。
注意点として、この記事で挙げるポイントは「怪しさを検知するための材料」であって、真贋を保証するものではありません。プロの鑑定士でも、専用機材を使ってようやく判断がつく個体があります。個人の目視で断定するのは避け、判断がつかないときは鑑定つきのサービスや正規ルートに切り替えるのが賢明です。
靴の偽物は「珍しい話」ではないという前提
「自分が買うようなモデルに偽物なんてあるの?」と思う方もいますが、数字を見ると靴は主戦場のひとつです。財務省が公表している令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況によると、輸入差止件数は31,760件で、1日平均87件が止められています。品目別では衣類が10,660件、バッグ類が7,560件と続き、靴類は3,597件(構成比10.1%)で第3位です。3万件超えは3年連続。差止点数は763,504点、推計価額は約180億円にのぼります。
仕出国別では中国が26,292件(構成比82.8%)と大半を占め、ベトナムが2,785件(構成比8.8%)、韓国が597件(構成比1.9%)、台湾が451件(構成比1.4%)と続きます。海外の通販サイトから直接買う場合、この数字が意味するリスクはそのまま自分に返ってきます。
ここで一つ気をつけたいのは、この件数はあくまで「税関で止められた分」だという点です。国内のフリマアプリや個人売買で動いている分は含まれません。実際に相談が多いのは、海外サイトからの直輸入よりも、国内のフリマで「新品未使用」として出品されていたものを買ったケースです。数字は氷山の一角として読むのが妥当でしょう。
先に「どこで買うか」を決めたほうが早い
見分け方の記事でこう書くのも妙ですが、いちばん効くのは買う場所を絞ることです。ニューバランスジャパンは公式に、公式オンラインストアは https://shop.newbalance.jp、公式オンラインアウトレットは https://outlet.newbalance.jp であり、これら以外の類似サイトとは一切関係がないと明記しています。直営店は公式の店舗検索で確認できます。
正規取扱店で買えば、そもそも見分ける作業自体が要りません。ABC-MARTやアトモスといった取扱店、ニューバランス公式の楽天市場店なども同様です。中古やフリマを選ぶのは「そこにしかないカラー・廃番モデルが欲しい」ときや、価格差が大きいときに限る、と決めておくとリスクの取り方が整理できます。
妥協点も正直に書いておくと、正規ルートは価格が下がりにくく、人気カラーは在庫が早く消えます。だからこそフリマに人が流れ、そこに偽物が入り込む余地が生まれています。「安く買いたい」という動機自体は自然なので、否定するより、後述する出品の見極め方をセットで身につけるほうが実用的です。
正規店で買った靴が「偽物っぽい」と言われたら
正規取扱店で買ったのに、SNSの見分け方記事と照らして「うちのは違う気がする」と不安になる方がいます。まず落ち着いていただきたいのですが、同じモデルでも生産時期・工場・ロットによって、タグの書式やステッチの細部は変わります。ネット上の比較写真は特定のロットのものであり、すべての正規品がそれと同一とは限りません。
確認すべきは、購入経路です。正規取扱店や公式ストアのレシート・注文履歴が残っているなら、それが最も強い裏付けになります。個体の細部が記事の写真と違うことより、どこで買ったかのほうが確度の高い情報です。判断がつかない場合は、購入した店舗に持ち込んで相談するのが確実です。
逆に言えば、購入経路が説明できない個体は、細部がどれだけ本物らしく見えても不安が残り続けます。売却時にも同じ問題が起きます。長く履くつもりの一足ほど、買う段階で経路を整えておく価値があります。
模倣品=ブランドの商標や意匠を無断で使った偽物そのもの。偽サイト=実在の企業のサイトと誤解させるように作られた通販サイト。偽サイトでは模倣品が届くこともあれば、代金を払っても何も届かないこともあり、被害の形が異なります。
シュータン裏のタグで見る3つのポイント
品番・生産国・サイズ表記が互いに矛盾していないか
まず見るのはシュータン(ベロ)の裏側に縫い付けられたタグです。ここには品番、サイズ、生産国が記載されています。単体で「本物っぽいか」を眺めるのではなく、3つの情報が互いに、そして商品ページの表記と食い違っていないかを見るのがポイントです。
具体的な手順はこうです。①タグの品番を控える → ②その品番を公式オンラインストアや正規取扱店のサイトで検索する → ③ヒットしたモデルの生産国・カラー・サイズ展開とタグの記載を突き合わせる。この3ステップで、存在しない品番や、実在するけれど仕様が合わない個体をふるいにかけられます。品番を検索してもどこにもヒットしないものは、その時点で購入を見送る判断材料になります。
注意点として、ニューバランスは同じ数字のモデルでも複数の仕様が併存します。たとえば990番台にはMADE in USAのラインとアジア製のラインがあり、「990」という数字だけでは生産国を確定できません。数字ではなく頭のアルファベットを含めた品番全体で照合してください。ここを雑に済ませると、正規品でも「表記が違う」と誤判定してしまいます。
印字の質は「文字の輪郭」に出る
2つ目は印字そのものの質です。スニーカーダンクの鑑定士がMADE IN U.S.A商品について挙げている差異は、本物は紙タグの印字がくっきりしているのに対し、偽物は文字がぼやけたり潰れたりする、というものです。フォントの太さや文字間隔の揃い方にも差が出ます。
写真だけで判断するときは、出品者に「シュータン裏タグの接写」を依頼するのが実務的です。ピントの合った接写であれば、文字の輪郭の甘さ、行間の不揃い、印字のかすれは、拡大すればかなりの確度で見えてきます。断られる、あるいは他の写真ばかり送ってくる場合は、その反応自体が判断材料になります。
ただし、ここには落とし穴があります。実際に履いた個体はタグが擦れて印字が薄くなります。中古品で印字が不鮮明でも、それだけで偽物とは言えません。「未使用・新品」として出品されているのに印字が甘い、という状態表記との矛盾のほうが、印字の濃さ単体より強いサインです。
フリマで購入を検討するなら、依頼する写真は「シュータン裏タグの接写」「アウトソール全体」「箱のサイドラベル」の3点セット。この3枚が揃わない出品は、価格が魅力的でも見送る基準にしておくと判断がぶれません。
ブラックライトのNB発光は「決め手」にしない
意外と知られていないのですが、ネット上で定番になっている「ブラックライトを当てるとタグにNBの文字が浮かぶ」という判定法は、ニューバランスが公式に案内している真贋判定の方法ではありません。まとめ記事の間で繰り返し引用されているうちに、あたかも公式の見分け方であるかのように広まったものです。
紫外線に対する反応の差自体は、実際に鑑定の現場でも使われています。スニーカーダンクの鑑定では、UV(紫外線)やIR(赤外線)に対する反応の差が判定材料として使われており、モデルによっては偽物側に本物にはない点線が浮かぶ、といった報告があります。ただしこれは、同一モデルの本物と偽物を並べて比較できる環境と、蓄積されたデータベースがあって初めて意味を持つ情報です。
個人が手元のブラックライトで見て「光ったから本物」「光らないから偽物」と結論づけるのは、判定としては雑になります。市販のライトは波長も出力もまちまちで、生産時期やロットによって反応が変わる可能性もあります。使うなら、他のチェック結果を補強する一材料として。単独の根拠にはしない、という距離感が現実的です。

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ソール・Nロゴ・縫製に出る「作りの差」

アウトソールの刻印は「彫りの深さ」で差が出る
アウトソールに入る「new balance」やテクノロジー名の刻印は、偽物との差が出やすい箇所です。スニーカーダンクの鑑定記事では、990V6について本物は「new balance」の文字が深く掘られているのに対し、偽物は浅い、という差異が挙げられています。同様に「FuelCell」「Ndurance」といった表記のフォントが異なるケースも報告されています。
この違いは、写真だと光の当たり方で分かりにくいことがあります。実物が手元にあるなら、指の腹でなぞってみてください。本物は文字の縁が立っていて、爪の先が引っかかる感触があります。浅く平坦で、指で触っても凹凸をほとんど感じない個体は、金型の作りが違う可能性があります。
注意しておきたいのは、履き込んだ靴のソールは刻印が摩耗して浅くなるという点です。特につま先寄りと拇趾球のあたりは削れます。判定に使うなら、摩耗の少ない土踏まず付近やヒール寄りの刻印を見るのが妥当です。ここでも「使用感の少ない出品なのに刻印が浅い」という矛盾の探し方が効きます。
Nロゴの大きさとステッチの整い方
サイドのNロゴは、ブランドの顔にあたるパーツだけに、サイズや取り付け位置のわずかな差が現れます。992について、偽物のNロゴが本物より小さい、という差異が鑑定側から指摘されています。ヒールの「USA」パーツの形状が異なるケースや、993ではヒールのUSA表記の「S」のフォントが違うケースも報告されています。
縫製も判断材料になります。JJJJound別注の991については、ハトメ(靴紐を通す穴の金具)の内側の角が本物は丸く、偽物は角ばっている、中底の縫製が本物はきれいに縫われているのに対し偽物は縫い幅が一定でない、という差が挙げられています。Nロゴのステッチの目が揃っているか、糸のテンションが均一かは、拡大写真でも比較的見やすいポイントです。
ただし、ロゴの大小や位置は「同じモデルの本物」と並べないと判断できません。単独の写真を眺めて「なんとなく小さい気がする」で判定するのは危険です。公式や正規取扱店の商品ページに載っている同カラーの写真をブラウザで並べて、同じ角度で見比べる。この一手間があるかないかで、精度がまったく変わります。
スペルミス・記号のサイズ違いという決定的な差
ときどき、疑いようのない差が出ることがあります。1906Uの偽物では、アウトソールの「durance」の表記にスペルミスがあった、というケースが報告されています。2002RのGORE-TEXモデルでは、偽物のインソールにGORE-TEXの表記そのものが存在しない、という差も挙げられています。「あるべき表記がない」「綴りが違う」は、他のどのポイントより強いサインです。
この種の差を見つけるには、公式の商品説明を先に読んでおく必要があります。そのモデルにどんなテクノロジーが搭載されていて、どこにどんな表記が入るのか。事前に把握していれば、写真を見た瞬間に「GORE-TEXモデルのはずなのにインソールに表記がない」と気づけます。逆に予備知識がなければ、目の前にあっても素通りしてしまいます。
加えて、®や™といった記号のサイズ・位置の違いも報告されています。991では「®」の文字サイズが異なる、993では「Ndurance™」の文字間隔が本物は均等なのに偽物はばらつく、といった具合です。細かいですが、拡大写真では見えます。ここまで来ると個人の判定の限界に近いので、迷ったら次の一手は「鑑定つきの経路に切り替える」でよいと思います。
| 確認する箇所 | 報告されている差異 | 写真判定の難易度 |
|---|---|---|
| シュータン裏タグ | 印字がぼやける・潰れる/フォントの太さ | 接写があれば見やすい |
| アウトソール刻印 | 彫りが浅い/フォント違い/スペルミス | 光の加減で見えにくい |
| Nロゴ・ヒール | ロゴが小さい/USAパーツの形状違い | 同モデルとの比較が必須 |
| インソール | フォントが太い/あるべき表記がない | 中敷きを外した写真が必要 |
| シュータン表面 | エンボス加工が単なるプリント/質感の違い | 斜めからの写真で判別可 |
箱とラベルは「靴とセットで」照合する
箱ラベルとシュータンタグの3項目を突き合わせる
箱は単体で見るものではなく、靴とセットで見るものです。やることはシンプルで、箱のサイドラベルに書かれた品番・サイズ・生産国が、シュータン裏タグの記載と一致しているかを確認します。正規品は当然一致します。一致しない場合、偽物か、あるいは別の箱に入れ替えられた個体ということになります。
ラベルの印刷品質も見ます。正規品の箱ラベルは品番・サイズ・製造国が鮮明に印刷されていますが、偽造品のラベルには誤字脱字があったり、印刷が薄くぼやけていたりする例が報告されています。サイズ表記のフォントが項目ごとにバラバラ、というのも報告されている特徴です。バーコードをスマートフォンのアプリで読み取って、想定どおりの商品情報が表示されるかを見るのも一つの方法です。
注意点として、箱の状態は流通過程で簡単に変わります。正規品でも配送でつぶれますし、店頭在庫の入れ替えで別の箱に入っていることもあります。箱の傷み具合は判定材料にならないと割り切って、あくまで「記載内容の一致」だけを見てください。
存在しないカラーコードは、ここで引っかかる
ニューバランスの品番は「アルファベット+数字+カラーコード」で構成されています。たとえば「MR993GL」は、メンズ(M)のランニング(R)、993モデル、グレー(GL)という読み方になります。この構造を知っていると、箱ラベルのカラーコードが実在するかどうかを調べられます。
偽造品では、実在しないカラーコードが書かれているケースが報告されています。手順としては、箱ラベルのフル品番をそのまま検索窓に入れて、正規取扱店や公式ストアの商品ページにたどり着くかを見ます。たどり着けば、その品番のカラーと目の前の靴の色が合っているかを確認します。品番の色と実物の色が違うのは、明確な矛盾です。
この方法の限界は、限定モデルやコラボモデルでは検索してもヒットしにくい点です。すでに販売終了している品番は、公式サイトから消えていることもあります。その場合は、発売当時の正規取扱店の商品ページやプレスリリースなど、一次に近い情報にあたって確認するのが安全です。ヒットしないこと自体が即偽物、とは断定できません。
失敗パターン①:箱の写真だけ本物で、中身が違った
実際に相談としてよくあるのが、「出品写真の箱はきれいで品番も読み取れたのに、届いた靴のタグが箱ラベルと違っていた」というパターンです。原因ははっきりしていて、箱と靴を突き合わせずに、箱の写真だけで安心してしまったことにあります。箱は正規品のものを別途入手できてしまうため、それ単体では本物の証明になりません。
対策は購入前と受け取り時の2段構えです。購入前は「箱ラベルと、シュータン裏タグの両方が写った写真」を依頼します。1枚に両方が入っていれば、後から差し替えられたという言い訳が通りにくくなります。受け取り時は、開封の様子を動画で撮っておく。返品交渉になったときの材料になります。
もう一つの対策は、フリマの商品説明に「箱あり」とだけ書かれているものを過信しないことです。箱の有無は真贋と関係がありません。むしろ「箱あり・新品未使用・相場より大幅に安い」の3点が揃っている出品は、値付けの根拠を出品者に質問してみる価値があります。納得できる説明が返ってこないなら、見送る判断でよいでしょう。
箱の有無は真贋の証明になりません。「箱あり」「タグ付き」といった付属品の情報ではなく、箱ラベルと靴のタグの記載が一致しているかだけを見てください。1枚の写真に両方が写っているかどうかが、依頼のポイントです。
品番と生産国の組み合わせが合っているか
頭のアルファベットが示しているもの
ニューバランス特有の判定軸が、品番と生産国の整合です。品番の先頭アルファベットは、Mがメンズ、Wがウィメンズ、Uがユニセックスを表します。続くRはランニング(アジア製)、Lはライフスタイルといった具合に、カテゴリーを示します。この構造がわかると、品番から「どのラインの製品か」がある程度読めるようになります。
実用面では、この知識は偽物判定だけでなくサイズ選びにも効きます。同じ996でも、メンズ・ウィメンズ・ユニセックスで木型やワイズ展開が異なるためです。ニューバランスにはB・D・2E・4E・6Eといった足囲(ウィズ)の規格があり、ABC-MART公式通販の説明によれば996シリーズには3〜4種類のワイズ展開があります。
注意点は、この命名ルールが年代やシリーズによって例外を含むことです。数字の意味も含め、すべてを法則で説明できるわけではありません。「品番から生産国が100%わかる」と考えるのではなく、公式ページで実際の品番を検索して裏を取るのが正しい使い方です。ルールは検索のとっかかりであって、答えそのものではありません。
USA製・UK製で作られるモデルは限られている
ニューバランスの生産国は大きく3系統に分かれます。USA製の代表はM990シリーズ、M1300、M1400。UK製の代表はM576、M991、M1500で、英国のフリンビー工場で製造されています。そしてCM996、ML574、ML2002Rといったアジア製のライン。公式のMADE in USA/UKのコレクションでは、990、991、992、993、1500、576などが展開されています。
ここが判定に効くのは、USA製・UK製として売られているモデルの品番と、タグの生産国表記が対応しているかを確認できるからです。MADE in USAのラインとして流通しているモデルなのに、タグに別の国が記載されていれば、そこに説明が必要になります。逆に、アジア製ラインの品番にUSA表記があるのも同様です。
注意すべき落とし穴もあります。同じ数字のモデルでUSA製とアジア製が併存するケースがあるため、「990だからUSA製のはず」という思い込みで誤判定しないこと。判定に使うのは数字ではなく、頭のアルファベットまで含めたフル品番です。ここを混同すると、正規のアジア製モデルを偽物と決めつけてしまいます。
価格帯の違いが、そのまま危険信号になる
生産国のラインは価格帯にも直結します。MADE in USAの992は、2026年春夏の展開で税込44,000円程度とされています(1ソースでの確認のため、購入時は正規取扱店で最新価格をご確認ください)。一方、アジア製のラインは正規取扱店であるABC-MART公式通販の表示価格で、U574が税込13,970円程度、U996が税込16,940円程度です(いずれも時期・カラーにより変動します)。
この差を知っていると、「MADE in USAの992が新品で1万円台」という出品に対して、すぐに違和感を持てます。国民生活センターも偽サイトの特徴として「販売価格が大幅に割引されている」ことを挙げています。価格そのものが、生産国表記と矛盾する最初のサインになるわけです。
ただし、価格が安い=偽物とは限りません。旧カラーの在庫処分、サイズ欠け、アウトレット品など、正当な理由で安くなることもあります。判断のコツは「安さの理由が説明されているか」。出品説明に理由が書かれておらず、質問しても曖昧な答えしか返ってこない場合に、警戒度を上げる。これが実用的な線引きです。
| 生産国ライン | 代表モデル | 判定で見るポイント |
|---|---|---|
| MADE in USA | M990シリーズ/M1300/M1400 | タグの生産国表記とヒールのUSAパーツ |
| MADE in UK | M576/M991/M1500 | 英国フリンビー工場製の表記と品番の対応 |
| アジア製ライン | CM996/ML574/ML2002R | 価格帯とカラーコードの実在性 |
買う前に9割決まる|偽サイトと危ない出品の見抜き方
国民生活センターが示す7つのチェックポイント
現物を見る前に効くのが、サイトそのものの見極めです。国民生活センターは「その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!」という報道発表資料で、7つのチェックポイントを公表しています。これは靴に限らずあらゆる通販に使える汎用リストで、靴を1足も触らずに危険を避けられます。
実際の使い方は、注文ボタンを押す前の30秒です。URLの表記、日本語の自然さ、事業者情報の記載、支払い方法、サイト内リンクの動作。この5点を順に見るだけで、雑に作られた偽サイトはほぼ引っかかります。特定商取引法では販売業者の名称・住所・電話番号を原則記載しなければならないと定められているため、これらが見当たらないサイトは、その一点で候補から外して構いません。
ただし、国民生活センター自身が注記しているとおり、いずれかに該当しても偽サイトではない場合があり、いずれにも該当しなくても偽サイトの場合があります。チェックリストは「安全証明」ではなく「危険検知」の道具です。同資料によれば、PIO-NETに登録された偽サイト関連の相談は2021年度で12,648件にのぼり、件数の規模からも軽視できません。
支払い方法が限定されているサイトの危うさ
7つのうち、靴の購入で特に効くのが支払い方法の項目です。国民生活センターは、クレジットカード決済のみ、銀行口座等への前払いのみ、代金引換サービスのみ、といった支払い方法の限定を危険信号として挙げています。それぞれ被害の出方が違います。
クレジットカードのみの場合、商品が届かないだけでなく、詐取されたカード情報が不正利用されるケースが報告されています。銀行振込のみの場合、振込先の名義人が販売業者ではなく個人名になっている例があります。代金引換のみの場合、受け取って中身を確認して初めて偽物とわかり、宅配業者に返金を求めても原則応じてもらえません。送り状の「依頼人」欄が販売業者ではなく発送代行業者になっているケースも報告されています。
実務的な対策は、複数の支払い方法から選べるサイトを優先することです。加えて、代金引換の荷物が届いたら、支払う前に送り状の依頼人を確認する習慣をつけておく。注文した覚えのない相手なら、受け取りを拒否できます。同居の家族が代わりに受け取ってしまわないよう、日頃から共有しておくことも有効です。
SNS広告と検索広告という「入口」に注意する
被害の入口として繰り返し報告されているのが、SNSや検索結果に表示される広告です。大幅な値引きを強調して興味を引き、偽サイトへ誘導する。検索サイトの結果ページ上部に表示される広告を公式通販サイトと思い込んでアクセスしてしまった、という相談も寄せられています。
ニューバランスジャパンも公式に、公式オンラインストアを装った偽サイトについて注意喚起を出しています。ロゴや商品画像の無断使用、製品の不正掲載、模倣品の販売、代金受領後の商品未発送といった行為が確認されており、商品説明の日本語が不自然、他サイトから集めた画像が使われている、支払い方法の説明と実際の内容が食い違う(送料が購入者負担になっているなど)といった特徴が挙げられています。
対策はシンプルで、広告からではなく、ブックマークまたは公式ドメインを直接入力してアクセスすることです。公式オンラインストアは shop.newbalance.jp、公式アウトレットは outlet.newbalance.jp。この2つのドメインを覚えておけば、そっくりな見た目のサイトに入ってもURLで気づけます。デメリットとして、正規のセール情報を見逃すことはありますが、それは公式サイト側で確認すれば済む話です。
中古で買うなら、どこまで確認すればいい?
中古は履きジワや摩耗があるぶん、印字の鮮明さや刻印の深さといった判定材料が弱くなります。そのため、中古では箱ラベルとタグの記載の一致、品番の実在、カラーの整合という「情報の照合」に比重を置くのが実用的です。摩耗しても記載内容は変わりません。
加えて、出品者の説明の一貫性を見ます。購入時期、購入場所、使用頻度を質問して、答えが商品の状態と噛み合っているか。「3年前に正規店で購入」と言いながらソールが新品同様、といった食い違いは、一つのサインになります。
注意点として、これらはすべて確率を上げるための手段であり、真贋の保証ではありません。金額が大きい取引や、どうしても不安が残る場合は、鑑定つきの経路を使うほうが結果的にコストは低く収まります。
①URLがブランドの正式な英語表記と少しだけ違う ②日本語の字体・文章表現がおかしい ③販売価格が大幅に割引されている ④事業者の住所の記載がない、または調べると虚偽・無関係 ⑤連絡方法が問い合わせフォームやフリーメールだけ ⑥支払い方法が1種類に限定されている ⑦サイト内のリンクが適切に機能しない

「ドクターマーチンが定価の半額以下で売っている。これって偽物じゃないの?」——通販サイトやフリマアプリでマーチンを探していると、必ずぶつかる不安です。人気ブラン…
偽物をつかんでしまったときの動き方
失敗パターン②:先に受取評価をしてしまった
フリマで偽物が届いたケースで、いちばん取り返しがつかなくなるのが受取評価を先にしてしまうことです。受取評価をすると取引が完全に終了し、事務局による対応が難しくなります。「とりあえず評価してから相談しよう」と考えてしまうのが、そのままつまずきの原因になります。
正しい順番は、①商品を開封したら、まず箱ラベルとシュータンタグを照合する → ②疑わしければ受取評価をせずに出品者へ連絡 → ③並行して事務局へ通報・相談、です。返品する場合も、いきなり送り返すのではなく、メッセージで相手の同意を得てから返送します。同意なく返送すると、返送した事実の証明で揉めることがあります。
証拠の残し方も押さえておきましょう。開封時の動画、箱ラベルと靴のタグを一緒に写した写真、出品ページのスクリーンショット。出品が削除されると商品説明の証拠が消えるため、購入直後にスクリーンショットを撮っておくのが確実です。クレジットカードで支払った場合は、カード会社への相談という経路も残ります。
支払い方法によって、打つ手が変わる
国民生活センターは、偽サイトへの対処は支払い方法によって異なり、早く対処するほど返金の可能性と被害拡大防止の可能性が高まるとしています。クレジットカードの場合は、すぐにカード会社へ連絡します。商品が届かないことで気づくケースでは時間が経過しており、カード会社の対応が難しくなることがあるため、利用明細の定期的な確認が予防になります。
銀行口座等への前払いの場合は、すぐに振込先金融機関の窓口に連絡し、振り込め詐欺救済法による救済を求める旨を申し出ます。あわせて最寄りの警察に被害を届け出ます。代金引換の場合は、注文直後に気づいたなら電子メール等でキャンセルの連絡を。連絡によって商品が届かずに済んだケースもあります。
どの経路でも共通するのは、気づいた時点で動くことです。判断に迷う場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」番に相談できます。最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁番号です。「自分の落ち度だから」と抱え込むより、早く相談したほうが選べる手が残ります。
海外通販は「個人使用でも没収される」時代になった
もう一つ知っておきたいのが、法律が変わっている点です。税関の案内によれば、令和4年(2022年)10月1日から、海外の事業者が模倣品を郵送等により日本国内に持ち込む行為が商標権・意匠権の侵害にあたることが明確化されました。「他人をして持ち込ませる行為」が輸入に含まれると明文化されたためです。
改正前は、個人使用目的の個人輸入は「業としての使用」に当たらないと解され、模倣品の個人輸入に明確に対抗できませんでした。改正後は、個人で使用する場合であっても、海外の事業者から送付される物品が模倣品であれば輸入できません。税関が疑いのある貨物を発見すると認定手続が開始され、輸入者には書面で通知が届きます。侵害に当たらないと主張する場合は証拠書類の提出が必要です。
実務上の痛手は、没収されても購入代金は戻ってこない点です。税関は返金に対応しないと明記しており、通販サイト等へ自分で問い合わせることになります。なお、個人で事業性がなければ罰則の対象外ですが、事業性がある場合は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に該当します。「安く買えた」つもりが、商品も代金も残らない結果になりうる、ということです。
読者タイプ別・失敗しにくい買い方の選び方
最後に、どの経路を選ぶべきかを目的別に整理します。定番の現行モデルを普段履きで買うなら、正規取扱店か公式ストアで完結させるのが最短です。見分ける手間もゼロですし、サイズ交換や初期不良の対応も受けられます。ワイズ展開のあるモデルは、店頭で複数のワイズを試せるという利点もあります。
廃番モデルや限定カラーを狙うなら、真贋鑑定つきのサービスという選択肢があります。スニーカーダンクは出品商品をすべてプロの鑑定士が確認して正規品を保証する体制をとっており、2021年10月19日15時以降に取引が成立した商品は鑑定料が無料(0円)とされています。X線透過装置でアウトソール内部を確認するなど、個人では真似のできない機材が使われています。
一般のフリマを使うなら、これまで挙げたチェックを全部通すつもりで臨んでください。写真3点セットの依頼、箱ラベルとタグの照合、品番検索、価格の妥当性の確認。この4つを面倒に感じるなら、その取引は見送ったほうが結果的に安く済みます。中古を検討している方は、状態の見方も含めて別記事にまとめています。

「ドクターマーチンが欲しいけれど、新品はちょっと高い」——そう感じて中古を検討している方はとても多いです。定番の8ホールブーツ「1460」は新品定価が31,90…
| こんな人 | おすすめの経路 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 定番モデルを普段履きに | 公式ストア・正規取扱店 | 人気カラーは在庫が早く消える |
| 廃番・限定カラーが欲しい | 真贋鑑定つきのフリマサービス | 相場より高値になることがある |
| とにかく価格を抑えたい | 公式アウトレット・正規店のセール | サイズ・カラーが限られる |
| 一般のフリマで探したい | 写真3点+品番検索を必ず通す | 受取評価は照合が済むまでしない |
まとめ:4系統の照合と、買う場所の選び方
ここまで読んで「思ったより見るところが多い」と感じたなら、それが正しい感覚です。だからこそ最初の一歩としておすすめするのは、今すぐ公式オンラインストアと公式アウトレットのURLをブックマークすること。広告経由でアクセスしない習慣がつくだけで、偽サイト経由の被害はほとんど避けられます。そのうえでフリマを使うときに、写真3点セットの依頼と品番検索を足していけば、判断の精度は着実に上がります。
なお、価格・在庫・仕様は変動します。本記事の情報は2026年8月時点で確認したものです。また、ここで挙げたチェックポイントは真贋を保証するものではありません。※最新情報は公式サイトでご確認ください。

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