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スニーカーショップで「チャックテイラーください」と言われたとき、店員が一瞬考えるのはなぜか。それは「チャックテイラー」という言葉が、モデル名でもあり、人の名前でもあり、さらに文脈によっては海外流通のCT70を指す隠語にもなっているからです。ネットで調べるほど「オールスターと同じ」「いや別物」と情報が割れて、余計にわからなくなった方も多いはずです。
結論から言うと、チャックテイラーは1930年代から1950年代初期にオールスターのヒールラベルに名前が刻まれた実在の人物であり、日本で売られているオールスターもアンクルパッチに「Chuck Taylor」と書かれた、れっきとしたチャックテイラーモデルです。一方でCT70は、米コンバース社が1970年代の仕様を再現して展開している「Chuck 70」という別ラインで、日本のコンバースとは商標の権利者そのものが違います。つまり「どちらが本物か」ではなく「どこの国の権利で、どの年代を再現しているか」が違うだけです。
この記事では、チャックテイラーという名前の由来から、CT70と国内オールスターの仕様差、日本でCT70を見かけない法的な事情、そして国内で買える現行モデルのうち「70年代の空気」に近いのはどれかまで、公式スペックと公式価格だけを根拠に整理します。読み終わるころには、店頭で自分が欲しい一足を名指しで指定できるようになります。
・チャックテイラーが人名であり、日本のオールスターもその系譜にあること
・CT70と定番オールスターの仕様差が出る5つの箇所
・日本でCT70が正規流通しない商標上の理由と、購入時のリスク
・国内で買える現行モデル(新オールスター/LGCY/J/ADDICT)の価格と違い
チャックテイラーとは誰か?靴に名前が残った1人のバスケ選手

モデル名だと思っていたら、実は人の名前だった
チャックテイラーは商品名ではなく、チャールズ・H・テイラーという人物の愛称です。コンバース公式のヒストリーページによれば、スタープレイヤーだったテイラー氏がオールスターを愛用し、引退後もその良さを世間に広め、改良にも協力しました。その功績が認められて、オールスターの象徴であるアンクルパッチに彼の名前が記されるようになった、という流れです。
だから正確に言えば「チャックテイラー」は、オールスターに与えられた署名のようなもの。別モデルの名前ではありません。ここを取り違えると、店頭で「チャックテイラーとオールスター、どっちがいいですか」という、成り立たない質問をしてしまうことになります。実際には「オールスターの中のどの仕様が欲しいか」という質問に置き換えるのが正解です。
注意したいのは、この呼び方が場面によって指すものが変わる点です。ヴィンテージ好きの文脈では1970年代以前の個体を、スニーカー通販の文脈ではCT70を指すことが多く、単に「チャックテイラー」と言うだけでは通じないことがあります。買い物のときは「国内のオールスターHIが欲しい」のように、モデル名と丈で伝えたほうが確実です。
星マークから署名まで、名前が刻まれるまでの30年
オールスターの誕生は1917年です。創業者マーキス・M・コンバースがバスケットボール専用シューズとして生産を開始しました。象徴である星マークが初めてアンクルパッチに入ったのが1928年で、そこからさらに時間をおいて、1930年代から1950年代初期にチャック・テイラーの名前がヒールラベルに記載されるようになります。
つまり「星が先、名前が後」です。この順序を知っていると、古着屋でヴィンテージのオールスターを見たときに、ラベルの表記から年代のあたりをつけられるようになります。1976年にはヒールラベルがホワイトに変更され、「ALL★STAR」表記が登場しました。年代ごとにラベルの色と星の数が変わっていくのが、このスニーカーの面白いところです。
ただし、ヴィンテージの年代判定は素人には難易度が高い領域です。復刻モデルが当時の仕様を再現しているため、ラベルだけでは新旧の区別がつかない個体もあります。年代を保証するかのような売り文句を鵜呑みにせず、まずは現行モデルで自分の好みの仕様を把握してから、中古に手を出すほうが安全です。詳しい年表はコンバース公式のALL STAR HISTORYで確認できます。
1962年、今のオールスターの形が完成した
現行オールスターのデザイン的な基準点は1962年です。公式年表では、この年に現行オールスターのベースとなるデザインが完成し、アンクルパッチの「Chuck Taylor」の文字が星マークの左右に分割配置されるようになったと説明されています。今あなたが履いているオールスターのアンクルパッチも、この配置を受け継いでいます。
そして1970年代に、ヒールラベルが通称「一ツ星」へ変更され、インソールが青枠に黒文字のシンプルなデザインに刷新されました。CT70やALL STAR LGCYが再現しているのは、まさにこの1970年代の仕様です。「70」という数字が示しているのは年代であって、モデルの序列やグレードではありません。
ここを押さえると、比較のものさしがはっきりします。定番オールスターは1962年以降の系譜を今日的にアップデートしたもの、CT70やLGCYは1970年代の意匠を意図的に呼び戻したもの。どちらが上位ということではなく、狙っている年代が違うだけです。とはいえ後者は素材とソールに手が入っているぶん価格が上がるので、「見た目の好み」と「予算」の両方で選ぶことになります。
日本のオールスターも、正真正銘のチャックテイラーモデル
ここが一番の誤解ポイントです。日本で普通に売られているオールスターのアンクルパッチにも「Chuck Taylor」の文字は入っています。つまり国内モデルもチャックテイラーモデルであり、「日本ではチャックテイラーは買えない」という言い方は正確ではありません。買えないのは、米コンバース社が展開する「Chuck 70(CT70)」という特定のラインです。
この区別を持っておくと、SNSで見かける「チャックテイラーは日本未発売」といった投稿にも振り回されなくなります。実務的には、国内で買えるオールスターの中から自分の好きな年代の仕様を選べばよく、わざわざ法的にグレーな輸入品を追いかける必要はありません。
一方で正直に言うと、国内定番オールスターとCT70では、キャンバスの厚みやソールの重厚感が違います。写真で並べると別物に見えるレベルの差があるので、「同じチャックテイラーだから何でもいい」とも言い切れません。だからこそ次のセクションで、その差がどこに出るのかを分解します。
アンクルパッチ=ハイカットの内側くるぶし部分にある円形のパッチ。星マークと「Chuck Taylor」「ALL STAR」の文字が入る。
ヒールラベル=かかと外側の長方形のラベル。年代によって星の数と地色が変わり、1970年代仕様は「一つ星」。
トゥキャップ=つま先を覆うゴム部分。CT70やLGCYではオフホワイト系に振ってヴィンテージ感を出している。
CT70とオールスターの違いは、この5か所に必ず出る
「70」は年代の話。グレードの話ではない
CT70の正式名称はChuck 70で、米コンバース社の公式サイトで販売されているラインです。公式の説明は「The shoe you love. Re-crafted with premium canvas and comfort.(あなたが愛用してきた靴を、上質なキャンバスと快適さで作り直した)」というもので、定番のChuck Taylor All Starを素材と履き心地の面で作り直した位置づけであることがわかります。
ここで大事なのは、CT70が「限定品」でも「上級グレード」でもなく、米国では定番として通年展開されているという点です。米コンバース公式ではChuck Taylor All Star Canvas High Topが65ドル、Chuck 70 Canvas High Topが95ドルで、同じ棚に並ぶ別ラインとして扱われています。
ただし米国価格をそのまま日本の感覚に当てはめると判断を誤ります。国内で流通しているCT70は輸入を経由した個体なので、米国の正価とはまったく別の価格帯になります。あとで触れる商標の事情もあるため、「95ドルだから安い」という発想で追いかけるのはおすすめしません。
キャンバスの厚みとインソールが、履き心地の差を作る
CT70のアッパーについて、米コンバース公式は「A heavyweight, durable canvas for that structured Chuck 70 look and feel(構築的なCT70らしい見た目と質感のための、厚手で丈夫なキャンバス)」と説明しています。手に取ると生地に張りがあり、履き始めは硬く感じるタイプです。足に沿って落ちてくるまでに時間がかかる代わりに、履き込むと形が決まってきます。
インソールにはOrthoLiteのクッショニングが採用されています。定番のChuck Taylor All Starにはこの記載がなく、ここが「CT70は歩きやすい」と言われる根拠のひとつです。ただしクッション性の体感は個人差が大きく、ランニングシューズのような柔らかさを期待すると肩透かしになります。あくまで「キャンバススニーカーとしては疲れにくい」という水準です。
弱点も正直に書いておくと、厚手キャンバスは乾きにくく、汚れが繊維の奥に入り込みやすいという性質があります。白系を選ぶ場合は、履き下ろす前の防水スプレーと、汚れたら早めに落とす習慣がセットになります。硬さが苦手な方は、国内の定番オールスターのほうが最初から足に馴染むはずです。
オフホワイトのソールと太いシューレースで、雰囲気が決まる
見た目の差が一番わかりやすいのが足元のゴム部分です。米コンバース公式はCT70の特徴として「Varnished, off-white midsole and toe cap for a vintage vibe(ヴィンテージ感のための、ニス仕上げのオフホワイトのミッドソールとトゥキャップ)」を挙げています。真っ白ではなく、少し黄味を帯びたクリーム色に振ってあるわけです。
さらに公式は「Thicker laces than the traditional Chuck Taylor All Star(従来のチャックテイラー オールスターより太いシューレース)」とも明記しています。この靴紐の太さは地味ですが効きます。同じシルエットでも、紐が太いだけで足元に厚みが出て、古着っぽい佇まいになります。
逆に言えば、この2点は雰囲気に直結するぶん、好みが割れる部分でもあります。真っ白でクリーンな足元が好きな方には、オフホワイトのトゥキャップは「くすんで見える」と感じられます。細身のパンツにシャープに合わせたいなら、白いトゥキャップの定番オールスターのほうが収まりがいいことも多いです。
5か所の違いを一覧で確認する
ここまでの内容を、米コンバース公式と日本のコンバース公式が公表している仕様だけで並べます。数字と表記はすべて各公式サイトの記載に基づくもので、体感の話は入れていません。
| 項目 | CT70(Chuck 70) | Chuck Taylor All Star(米国定番) | ALL STAR HI(国内定番) |
|---|---|---|---|
| アッパー | ヘビーウェイトキャンバス | キャンバス | キャンバス |
| インソール | OrthoLite クッショニング | 公式に記載なし | オープンセル構造ウレタンフォーム(取り外し可能) |
| トゥキャップ | ニス仕上げのオフホワイト | 標準仕様 | 標準仕様 |
| シューレース | 定番より太い | 標準 | 標準 |
| 公式価格 | 95ドル(ハイカット)/90ドル(ローカット) | 65ドル(ハイカット) | 6,490円 |
表にすると、CT70が「素材とクッションに投資したライン」であることが読み取れます。ただし国内定番オールスターも2025年のリニューアルでインソールが刷新されているため、履き心地の差は以前ほど単純ではありません。この点は後半で詳しく扱います。
日本の店頭で見かけないのはなぜ?2つのコンバースが存在する事情

商標の権利者が、日本と米国で完全に分かれている
CT70が日本の正規店に並ばない理由は、品質でも人気でもなく、商標です。日本におけるコンバースの商標権は伊藤忠商事が、米国ではナイキの子会社であるConverse Inc.が所有しています。両社には資本関係もコンバース商品に関する提携関係もないため、日本製コンバースとUSコンバースは法律上まったく別の商品として扱われます。
国内でブランドを展開しているのは、伊藤忠傘下のコンバースジャパン株式会社です。だからコンバースジャパンの公式オンラインショップにCT70が載っていないのは当然で、そもそも扱える権利がありません。「入荷待ち」でも「日本未発売」でもなく、構造的に扱えないという話です。
この事情を知らないと、「なぜ本国の人気モデルを売らないのか」という不満につながります。しかし国内コンバースの側も、この独立した立場だからこそCANVAS ALL STAR Jのような日本製ラインやCONVERSE ADDICTを自由に展開できています。制約と自由はセットになっています。
並行輸入品は「偽ブランド品と同じ扱い」になりうる
ここは購入前に必ず知っておくべき部分です。弁理士による解説記事では、USコンバースについて「米国では正規品なわけですが、日本国内では日本の商標法に基づき偽ブランド品と同じ扱いになってしまう」と説明されています。品物が本物かどうかではなく、日本の商標権者の許諾がないことが問題になるという構造です。
具体的には、「業としての」輸入・販売は伊藤忠商事の商標権を侵害する行為にあたります。さらに2022年10月の商標法改正により、外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為も侵害行為に含まれるようになりました。個人輸入なら何でも自由、という時代ではなくなっています。
そのうえで冷静に見ると、フリマアプリで「CT70 正規品」と書かれた出品が多数あるのが現状です。ここには法的なリスクと、次に述べる真贋のリスクが同時にのしかかります。海外旅行先の正規店で自分用に買うのと、国内の転売品を買うのとでは話がまったく違う、と理解しておいてください。
失敗パターン①:フリマで「本物」を買ったつもりが判断できない
よくある失敗が、フリマアプリやオークションでCT70を落札したあと、届いた個体が本物かどうか自分では判断できない、というケースです。出品者自身が偽物と気づいていないまま「正規品です」と記載していることもあり、説明文だけでは何の担保にもなりません。
原因は、判断材料が写真しかないことと、比較対象になる本物を手元に持っていないことの2つです。ヒールラベルの印字やインソールのロゴは見分けの手がかりとしてよく挙げられますが、近年の模倣品は外観の再現度が上がっており、写真判定で確実に見分けられると考えるのは危険です。
対策はシンプルで、真贋リスクを負わない選択をすることです。国内正規流通のオールスターから選べば、この問題は最初から発生しません。1970年代の意匠が欲しいのであれば、後半で紹介するALL STAR LGCYが同じ狙いを国内正規品で満たしてくれます。どうしてもCT70でなければ、という理由が言語化できないなら、国内モデルで十分です。
CT70を国内の転売・並行ルートで買う前に、①日本の商標権者は伊藤忠商事であり米コンバースとは別権利であること、②2022年10月の商標法改正で持ち込ませる行為も侵害対象になったこと、③写真だけで真贋を確実に判定する方法は存在しないこと、の3点を確認してください。判断に迷うなら、国内正規のオールスターを選ぶのが確実です。
約25年ぶりに中身が変わった国内オールスター、何が起きたのか
見た目は据え置き、履き心地だけを丸ごと入れ替えた
2025年10月2日、コンバースジャパンは永久定番のオールスターをリニューアルしました。公式リリースによれば、これは約四半世紀ぶりの刷新で、初回はブラックとホワイトの2色から。その後2026年2月27日より順次新色が追加され、ブラック、ホワイト、ネイビー、レッド、ナチュラルホワイト、ブラックモノクロームの6色展開になっています。
特筆すべきは、シルエットや配色といった見た目の記号をほとんど動かさず、内部構造だけを刷新した点です。オールスターは「見た目が変わったら別物」になってしまうアイコンなので、この判断は理にかなっています。街で見かけても、言われなければ新型と気づかない人がほとんどでしょう。
裏を返すと、店頭で新旧を見分けにくいという実務上の問題があります。旧仕様の在庫が残っている店もあるため、履き心地の刷新を目当てに買うなら、品番とカラー名を確認してから購入するのが確実です。
片足で約60g軽くなり、インソールが取り外せるようになった
刷新の中身で一番効いているのがインソールです。公式リリースによると、インソール素材を従来のラバースポンジからオープンセル構造のウレタンフォームに変更し、ヒール内部にも装着。これによりソール全体を見直した結果、26.5cmでの従来品との比較で片足約60gの軽量化を実現しています。しかもこのインソールは取り外し可能です。
取り外せることの意味は大きく、市販のインソールに入れ替えて自分の足に合わせるという選択肢が生まれます。オールスターは構造上フラットで、土踏まずのサポートが弱いスニーカーです。長時間歩く用途で使うなら、この差し替えができるかどうかで快適さが変わります。
ただし過度な期待は禁物です。軽くなったとはいえ、クッション性の高いランニング系スニーカーとは設計思想が違います。1日中立ちっぱなしの現場で使うような靴ではない、という前提は変わっていません。足の痛みが続く場合は靴で解決しようとせず、専門医に相談してください。
ラストとアウトソールの傾斜が、足当たりを変えた
もうひとつの変更点がラスト(木型)です。公式リリースでは、外観を変えずに甲周りにゆとりを持たせた新設計と説明されています。オールスターは甲が窮屈で靴紐がきつく感じるという声が長年あったので、ここに手が入ったのは実務的な改良です。
アウトソールも内部に屈曲溝と傾斜が設けられ、傾斜によって後傾感が改善されています。フラットで踵が落ちた感覚が苦手だった人にとっては、ここが効くはずです。ソールとトゥキャップの色も、青みがかった白から温かみのある生成色寄りに変わっています。
注意点として、ラストが変わったということは、旧仕様と同じサイズで買っても足当たりが同じとは限らないということです。長年オールスターを同じサイズで買い続けてきた方ほど、一度は試し履きをしてから決めることをおすすめします。
6,490円という価格の意味
新しいオールスターはハイカットのALL STAR HI、ローカットのALL STAR OXともに6,490円です。サイズ展開は22.0〜28.0cm、29.0cm、30.0cmで、アッパーはキャンバス、アウトソールはラバー、生産国はインドネシアと公式に明記されています。
この価格帯で、木型とソールを刷新した定番アイコンが買えるというのは、選択肢としてかなり強い部類です。スニーカーの価格が全体的に上がっている中で、6,490円の定番が残っていること自体が価値になります。1足目のキャンバススニーカーとしては素直に推せます。
妥協点も挙げておくと、キャンバス地は雨に弱く、ソールも薄いので、通勤で毎日長距離を歩く用途には向きません。1足を履き潰すのではなく、革靴や厚底スニーカーと交互に履き回す前提で考えると、寿命も履き心地も安定します。
| モデル | ALL STAR HI / ALL STAR OX(2025年リニューアル版) |
| サイズ展開 | 22.0〜28.0cm、29.0cm、30.0cm |
| 素材・生産国 | アッパー:キャンバス/アウトソール:ラバー/インドネシア |
| 軽量化 | 片足約60g減(26.5cm・従来品との比較) |
| 公式価格 | 6,490円(HI/OXとも) |
木型とインソールを刷新して片足約60g軽くなった定番を6,490円で選ぶなら▼
70年代の空気に一番近い国内モデルはどれか
ALL STAR LGCY:一つ星ヒールラベルを正規品で手に入れる
CT70の代わりを国内で探すなら、最有力はALL STAR LGCYです。コンバース公式のSPECページによると、通称「一つ星」のヒールラベル、経年変化風の外観を再現する艶出し加工を施したトゥキャップとテープ、洗い加工を施したキャンバスアッパーと、狙っているポイントがそのまま1970年代です。
履き心地の作り込みも本格的で、PUシートの上にOrtholite®と、反発性に優れへたりにくいスポンジラバーを組み合わせた多重構造インソールを搭載しています。ハイカットには踵のホールド感を向上させる「頂点をつまんだような形状」のカウンターと、鮮やかなブルーの星が特徴的なノッチ付きアンクルパッチが入ります。価格はALL STAR LGCY HIが14,300円、ALL STAR LGCY OXが13,750円です。
妥協点は価格です。定番オールスターの倍以上になるため、「オールスターにこの金額は出せない」と感じる方もいるはずです。ただしCT70を国内の転売ルートで探した場合の価格と真贋リスクを考えると、正規品でこの内容が買えるのは合理的な選択と言えます。仕様の詳細はコンバース公式のALL STAR LGCY SPECで確認できます。
CANVAS ALL STAR J:日本製とシャープなシルエットが欲しい人へ
年代の再現ではなく、作りの良さと佇まいで選ぶならCANVAS ALL STAR Jです。生産国は日本で、ヒールラベルには「MADE IN JAPAN」が印字されます。生成りテープとコットンシューレースを使い、インソールは白キャンバスに赤字のコンバースロゴという、日本の国旗をイメージした仕様です。
シルエットの決め手は80sラストで、定番よりシャープに見えます。細身のパンツやスラックスに合わせたときの収まりがよく、キャンバススニーカーでありながらきれいめに寄せられるのが強みです。オリジナルカートンボックス仕様なので、贈り物としても選びやすい一足です。
価格はCANVAS ALL STAR J HIが16,500円、CANVAS ALL STAR J OXが15,950円。定番と比べると相当な差があり、インソールはラバースポンジなので、クッション性を最優先するならLGCYのほうが上です。「作りと生産国に価値を感じるか」で判断が分かれます。
CONVERSE ADDICT:国内で唯一「CHUCK TAYLOR」の名を冠するライン
意外と知られていないのですが、日本のコンバースにも「CHUCK TAYLOR」というモデル名を正式に使っているラインが存在します。それがCONVERSE ADDICTです。公式によれば2008年にCONVERSE生誕100年を記念してスタートした上位ラインで、ヘリテージモデルをベースにクラシックなディテールとシルエットを維持しながら、ヴィブラムソールとカップインソールを採用しています。
CHUCK TAYLOR CANVASは1960年代モデルのディテールである三つ星ヒールラベルとサイドステッチを備え、インソールはE.V.A.とPORON®の2重構造カップインソールにTPUシャンクを組み合わせたもの。アウトソールはVIBRAM® MEGAGRIPで、キャンバススニーカーの中では滑りにくさと耐久性が際立ちます。価格はCHUCK TAYLOR CANVAS HI/OXともに23,100円です。
「日本でチャックテイラーは買えない」という通説が成立しないのは、まさにこのラインがあるからです。ただし価格は定番の3倍以上で、レザーモデルのCHUCK TAYLOR LEATHER HIは36,300円、CHUCK TAYLOR LEATHER OXは26,400円。取り扱い店舗も限られるため、まずは公式オンラインショップで在庫を確認するのが現実的です。
くつのトリセツ調べ:国内で買える4ラインを公式スペックで並べる
ここまで挙げた国内正規モデルを、各公式サイトの記載だけで横並びにします。価格はすべて税込の公式価格で、体感評価は入れていません。自分がどの軸を優先するかで選んでください。
| 項目 | ALL STAR HI | ALL STAR LGCY HI | CANVAS ALL STAR J HI | CHUCK TAYLOR CANVAS HI |
|---|---|---|---|---|
| 公式価格 | 6,490円 | 14,300円 | 16,500円 | 23,100円 |
| ヒールラベル | 現行仕様 | 一つ星(1970年代仕様) | MADE IN JAPAN印字 | 三つ星(1960年代仕様) |
| インソール | ウレタンフォーム(取り外し可能) | PUシート+Ortholite®+スポンジラバー | ラバースポンジ | E.V.A.+PORON®カップインソール+TPUシャンク |
| アウトソール | ラバー(屈曲溝・傾斜あり) | 重厚感のある新設計ソール | ラバー | VIBRAM® MEGAGRIP |
| 生産国 | インドネシア | インドネシア | 日本 | インドネシア |
この表の使い方はシンプルです。年代の意匠が欲しいならLGCY、作りと生産国ならJ、滑りにくさと耐久性ならADDICT、価格と入手しやすさなら定番。CT70の代替として考えるなら、優先度はLGCYが最上位になります。
サイズ選びで転ぶのは、だいたいこの3パターン
CT70は「0.5サイズ下」が公式の推奨
CT70のサイズ選びについては、米コンバース公式の商品ページに明確な記載があります。「This style runs large. Order a half size down.(このモデルは大きめに作られています。0.5サイズ下を選んでください)」というものです。メーカー自身が大きめと認めているので、ここは素直に従うのが安全です。
厚手のキャンバスは履き始めこそ硬いものの、履き込むうちに甲が沈んで足に馴染みます。最初に「ちょうどいい」と感じるサイズを選ぶと、馴染んだあとに緩くなりやすい、というのがハーフサイズ下げが推奨される理由のひとつです。
ただし0.5サイズ下げが万人に当てはまるわけではありません。甲が高い方や幅広の方は、下げると甲の圧迫が強くなります。サイズ感は主観のばらつきが大きい領域なので、可能なら実物を履いてから決めるのが原則です。試着できないルートで買うなら、その時点でリスクを負っていると認識してください。
失敗パターン②:US表記の感覚のまま国内モデルを注文する
もう一つの典型的な失敗が、海外の情報を見てサイズ感を決め、国内モデルを同じ発想で注文してしまうケースです。国内のオールスターはcm表記が基本で、サイズ展開は22.0〜28.0cm、29.0cm、30.0cmです。ここに「大きめだから0.5cm下げ」というCT70向けの助言を持ち込むと、単純に小さい靴が届きます。
原因は、CT70と国内オールスターが別会社の別製品であるにもかかわらず、同じ「オールスター」という名前で語られてしまうことにあります。木型が違えば当然サイズ感も違います。しかも国内定番は2025年のリニューアルでラストが新設計になり、甲周りにゆとりが加わっています。
対策は、参照する情報のモデル名を必ず確認することです。「オールスターのサイズ感」と書かれた記事が、CT70の話なのか国内モデルの話なのか、リニューアル前なのか後なのかを見極める。これだけで失敗はかなり減ります。

コンバースを買おうとして、サイズ表の前で手が止まった経験はありませんか。「普段は26.5cmだけど、コンバースは0.5cm上げたほうがいいと聞いた」「でも大きす…
サイズ表記の「US」と「cm」が混在する落とし穴
国内オールスターの商品ページを見ると、「3(22.0cm)」のようにUS表記とcm表記が併記されています。ここで厄介なのが、同じcmに複数のUS表記が割り当てられている場合があることです。数字だけを頼りに注文すると、意図しないサイズを選ぶことになります。
実務的な回避策は、注文時にcm表記だけを見ることです。国内正規品を買う限り、cmが揃っていれば問題は起きません。US表記を気にする必要があるのは、海外モデルと国内モデルを比較するときだけです。
とはいえ、海外の情報を読むときにはUS表記の理解が必要になります。表記の仕組み自体はそれほど複雑ではないので、一度整理しておくと海外通販の記事も読みやすくなります。

コンバースを買おうとして、箱やタンの裏の「5H」「6 1/2」という表記で手が止まった経験はありませんか。同じ24.5cmなのにUS5.5とUS6が並んでいたり…
逆張り視点:実はハイカットのほうがサイズが合わせやすい
意外と知られていないのですが、オールスターで迷ったらハイカットのほうがサイズの許容範囲が広くなります。理由は単純で、足首まで包む構造のぶん紐で締められる範囲が長く、多少大きめでも足が前に滑るのを抑えられるからです。
ローカットは紐で調整できる範囲が短く、甲が低い方だと締めても靴の中で足が動きやすくなります。歩くたびに指先が当たる、かかとが抜ける、といった不満はローカットのほうが出やすい傾向があります。しかも新型のALL STAR HIには、踵のホールドを高めたLGCYのようなカウンター形状は入っていません。
もちろんデメリットもあり、ハイカットは脱ぎ履きに手間がかかり、足首まわりが擦れることがあります。座敷に上がる機会が多い方や、夏に涼しく履きたい方にはローカットが向きます。サイズの合わせやすさとライフスタイルは別問題なので、そこは天秤にかけてください。
買ってからが本番——履き分けとお手入れで寿命が変わる
シーンで選ぶと、1足あたりの満足度が上がる
オールスター系は「どれか1足を選ぶ」より「用途を決めて選ぶ」ほうが失敗しません。毎日のちょい履きなら6,490円の定番で気兼ねなく使い、休日のコーディネートの主役にするならLGCYやJ、雨の日や路面が滑る場面が多いならVIBRAM® MEGAGRIPのADDICT、という具合に役割を振ります。
特にキャンバススニーカーは、連日履くと汗が抜けず内部が湿ったままになります。2足以上で回すだけで、ソールの寿命も臭いの発生も明確に変わります。同じ予算なら、高いモデルを1足買うより中位モデルを2足で回すほうが、トータルの履ける日数は長くなります。
逆に、1足に絞りたい方には定番のALL STAR HIをすすめます。価格が抑えられているぶん傷んだら買い替えやすく、精神的にも履き潰しやすいからです。高価なモデルほど「汚したくない」で出番が減る、というのはよくある話です。
| 使用シーン | おすすめモデル | 公式価格 |
|---|---|---|
| 毎日のちょい履き・1足目 | ALL STAR HI(2025年リニューアル版) | 6,490円 |
| 70年代の雰囲気を出したい休日 | ALL STAR LGCY HI | 14,300円 |
| きれいめに寄せたい・贈り物 | CANVAS ALL STAR J HI(日本製) | 16,500円 |
| 滑りにくさと耐久性を重視 | CHUCK TAYLOR CANVAS HI(ADDICT) | 23,100円 |
キャンバスの黄ばみは、洗い方より乾かし方で決まる
白いオールスターで一番多い悩みが、洗ったあとの黄ばみです。原因の多くは洗剤や汚れそのものではなく、生地に残った水分とアルカリ成分が乾く過程で輪ジミや黄ばみになることにあります。つまり「どう洗うか」より「どう乾かすか」で結果が変わります。
基本は、洗ったあとに水気をしっかり切り、直射日光を避けた風通しのいい場所で乾かすこと。天日でカラッと乾かしたくなりますが、紫外線はゴム部分の変色を進めます。CT70やLGCYのようにトゥキャップがオフホワイト寄りのモデルは、変色が目立ちやすいので特に注意してください。
また、洗濯機で丸洗いするのはおすすめしません。ソールとアッパーの接着部に負担がかかり、剥がれの原因になります。手順を守った手洗いのほうが、結果的に長持ちします。

お気に入りのコンバースが、いつの間にかつま先は黒ずみ、白いキャンバスは黄ばんできた——。そろそろ洗いたいけれど「洗濯機に放り込んでいいの?」「洗ったらかえって黄…
ソールの寿命は「見た目」ではなく接着部で判断する
キャンバススニーカーの寿命は、アッパーの汚れではなくソールで決まります。判断ポイントは、アウトソールの溝が消えていないか、ミッドソールとアッパーの接着部に隙間が出ていないか、インソールがぺたんこに潰れていないかの3点です。
新型のALL STAR HI/OXはインソールが取り外せるので、へたったら市販のインソールに交換するという延命策が使えます。一方でLGCYやJのように多重構造や成形で組み込まれているモデルは、インソールだけの交換で復活させるのは難しくなります。ここは価格の高いモデルのほうが不利になる、珍しい逆転ポイントです。
接着部が浮いてきた場合、市販の接着剤で応急処置をする人がいますが、はみ出した接着剤でキャンバスにシミを作る失敗が多い箇所です。愛着のある一足なら、自分で貼るより靴修理店に相談したほうが結果は安定します。
保管の一手間で、次のシーズンの状態が変わる
シーズンオフに靴箱へ入れっぱなしにすると、湿気でソールのゴムが劣化し、カビが出ることがあります。しまう前に汚れを落として完全に乾かし、乾燥剤とともに保管するだけで、翌シーズンの状態はまったく違います。
形の保持については、キャンバススニーカーはつま先が反りやすいので、丸めた新聞紙や軽量のシューキーパーを入れておくと安心です。ただし革靴用の硬いシューキーパーを強く入れると、キャンバスが伸びて型が崩れます。テンションをかけすぎないのがコツです。
なお、長期保管したスニーカーのソールは、素材によっては経年で硬化したり脆くなったりします。何年も履かずにしまっていた一足を久しぶりに履くときは、いきなり長距離を歩かず、近所を歩いて状態を確かめてから出かけてください。
まとめ:チャックテイラーは人名、CT70は年代、選ぶ基準はここにある
チャックテイラーという言葉に振り回されてきた方に伝えたいのは、追いかけるべきは名前ではなく仕様だということです。1970年代の一つ星ヒールラベルと艶のあるトゥキャップが好きなのか、日本製のシャープなシルエットが好きなのか、それとも6,490円で買える気軽さが欲しいのか。この問いに答えが出れば、選ぶべきモデルは自動的に決まります。最初の一歩としては、コンバース公式オンラインショップでALL STAR LGCYのヒールラベルの写真を見て、自分が「これが欲しかった」と感じるかどうかを確かめてみてください。もしピンと来なければ、あなたが欲しかったのは6,490円の定番オールスターだった、ということです。
なお、価格・カラー展開・仕様は変更されることがあります。購入前にコンバース公式オンラインショップおよび各メーカー公式サイトで最新情報をご確認ください。

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