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「ニューバランスの996って、ワンサイズ上げるのが正解らしい」——検索するとそう書いてある記事もあれば、「普段どおりで問題なし」と書いてある記事もあります。真逆のことが並んでいるので、結局どのサイズをカートに入れればいいのか決められない。996のサイズ選びで手が止まる原因は、ほぼここにあります。
先に結論をお伝えします。996は「普段のスニーカーと同じサイズ」を基準にして、幅広・甲高・厚手ソックスのいずれかに当てはまる人だけ0.5cm上げる。これが失敗の少ない決め方です。1cm上げる必要があるケースは、思っているよりずっと少数です。
この記事では、996が細く感じられる構造上の理由(木型とウィズ)、現行モデルごとに変わるサイズ感、他ブランドからの換算目安、そして「買ったけど合わない」ときに買い替える前にできる調整までをまとめます。数字はニューバランス公式のサイズ制度と、公式・正規取扱店の商品情報をもとにしています。
・996を「普段どおり」で買っていい人と、0.5cm上げるべき人の分かれ目
・996が細いと言われる正体(SL-1ラストとDウィズ)
・現行4系統(CM996V2/GORE-TEX/Made in USA/レディース)のサイズ感の違い
・きつい・大きいと感じたときに、返品する前に試せる調整手順
ニューバランス996 サイズ感の結論は「普段どおり」から始める

足長ジャストが基準になる理由は、捨て寸が最初から入っているから
996のサイズ選びは、普段履いているスニーカーと同じ表記から試すのが出発点です。理由は単純で、スニーカーの表記サイズには最初からつま先の余裕(捨て寸)が織り込まれているからです。靴選びの一般則として、足の実寸に対して1.0〜1.5cm程度の余裕を確保するのが目安とされますが、これは「実寸25.0cmの人が26.0cm表記の靴を買う」という意味ではありません。表記25.0cmの靴の内部が、すでに実寸25.0cmの足に余裕を持たせて作られています。
ここを取り違えて「捨て寸を足さなきゃ」と表記から1cm上げると、つま先には2cm以上の空間ができます。歩くたびに足が前に滑り、その反動でかかとが浮く。996はランニングシューズ由来のホールド設計なので、この状態になると本来の履き心地から離れてしまいます。
使う場面で考えても同じです。996は通勤・街歩き・旅行のように「長時間立って歩く」用途で選ばれることが多いモデル。長時間歩くほど、サイズが大きいことによる足の前滑りは効いてきます。注意点として、足の実寸を知らないまま「いつものサイズ」を決めている人は、その「いつも」自体がずれている可能性があります。まずは自分の足長を測るところから始めてください。

「ワンサイズ上げが定説」になった理由と、鵜呑みにできない事情
996に「1サイズ上げ」を勧める声が根強いのは事実です。一般的なスニーカーと比べて横幅が狭いため、ワンサイズアップを勧める販売員の意見もあります。一方で、サイズ感は基本的に普段どおりでよく、幅広・甲高の人のみ0.5cmアップを検討すればよいという見解もあります。同じ「靴を売る側」でも割れているのです。
この差が生まれるのは、比較対象がバラバラだからです。ナイキのランニング系やコンバースのキャンバスから乗り換えた人にとって996は明確に狭く感じますが、同じニューバランスの574や1906Rから乗り換えた人は「そこまで変わらない」と感じます。つまり「1サイズ上げ」は996の絶対的な性質ではなく、その人が直前に履いていた靴との差分の話です。
ABC-MART公式の解説では、足のサイズから+0.5〜1cm程度を目安にすると窮屈に感じずフィットする場合が多い、という表現になっています。ここでも「+1cm一択」ではなく幅を持たせています。注意点は、この0.5〜1cmが「足の実寸から」の数字であって「普段の表記サイズから」ではないこと。実寸25.0cmの人なら25.5〜26.0cmが候補、という読み方になります。
0.5cm上げたほうがいい人の3条件
上げるかどうかで迷ったら、次の3つのうち2つ以上に当てはまるかで判断してください。①足幅が広い(普段2Eや3E表記の靴を選んでいる)、②甲が高い(靴紐を緩めないと足が入らない経験がある)、③冬に厚手のウールソックスで履く予定がある。2つ以上当てはまるなら0.5cm上げ、1つ以下なら普段どおりが目安です。
根拠は996の構造にあります。後述するとおり996はDウィズ中心の展開で、幅を上げる選択肢が用意されていません。幅が足りないぶんを長さで補うしかないため、幅広・甲高の人だけが0.5cm上げる必要が出てくるわけです。逆に足幅が標準以下の人が0.5cm上げると、幅も一緒に広がって足が泳ぎます。
使い分けの例では、通勤で毎日8時間履く人は0.5cm上げ寄り、週末の街歩き中心で薄手ソックスなら普段どおり、が判断しやすい目安です。デメリットも正直に書くと、0.5cm上げるとシルエットはわずかに大きく見えます。996の細身のフォルムに惹かれて選ぶ人にとっては、ここが妥協点になります。
ニューバランス公式オンラインストアは、室内での試着かつ未使用に限り、出荷日から14日以内に申請すれば返品できます。ただしサイズ交換は受け付けておらず、一度返品してから希望サイズを注文し直す流れです。迷っているサイズが2つあるなら、交換前提ではなく「2足買って合わないほうを返品」のほうが手戻りが少なくなります。
失敗パターン①:1cm上げてかかとが抜けた
もっとも多い失敗が、ネットの「ワンサイズ上げ」だけを見て普段27.0cmの人が28.0cmを買うケースです。届いた瞬間は「ゆったりしていて履きやすい」と感じます。問題は歩き出してからで、5分も歩くとかかとが上下に動き始め、アキレス腱のあたりが擦れます。
原因は、長さを上げるとかかとの内部容積も一緒に広がることです。996のヒールカウンターは足を包む前提で設計されているので、そこに隙間ができると保持が効きません。対策は、購入前に「かかとを靴の後ろに合わせて履き、つま先に人差し指が1本入るか」を基準に見ること。指2本分の余裕があるなら1サイズ大きい可能性が高いと考えてください。
すでに買ってしまった場合は、後述する靴紐とインソールでの調整で救えることがあります。ただし1cm大きいものを完全に埋めるのは難しく、0.5cmまでが現実的な調整範囲です。
996が「細い」と言われる正体は、SL-1という木型にある
SL-1ラストは、そもそもすっきり見せるための足形
996が細いのは製造誤差でも当たりハズレでもなく、設計です。996にはニューバランスの定番ラスト(木型)である「SL-1」が使われています。SL-1はやや細身ですっきりしたシルエットが特徴で、オンロードのランニングモデルに採用されてきた足形です。細さは狙って作られた個性ということになります。
ここが574との明確な違いです。574は「SL-2」というラストで、つま先部分に丸みを帯びたフォルムになります。同じニューバランスで同じ表記サイズでも、履いた瞬間の幅の当たりが変わるのはこのためです。996を履いて窮屈だと感じた人が574でしっくりくる、という声が多いのも構造で説明がつきます。
使い分けとしては、細身のパンツやスラックスに合わせてすっきり見せたいなら996、幅にゆとりが欲しいなら574。注意点は、SL-1が細いのは「幅」であって「長さ」ではないこと。長さが足りないと感じているのに幅の話で0.5cm上げると、今度は長さが余ります。どちらが足りないのかを切り分けてから決めてください。
ミッドソールの違いも履き心地に効いている
996の現行主力であるCM996V2は、C-CAPを使った2層構造のミッドソールにPUインソールを組み合わせています。C-CAPはEVA素材を圧縮成形したニューバランス独自の素材で、クッション性と耐久性を両立させる狙いのものです。一方574はENCAP(EVAをポリウレタンで包む構造)を採用しており、同じ定番同士でも足裏の返り方が変わります。
なぜサイズ感の話でミッドソールが出てくるかというと、足入れの深さに影響するからです。インソールとミッドソールの構成が変われば、同じ表記サイズでも甲の当たりが変わります。「574の26.5cmはちょうどいいのに996の26.5cmはきつい」という現象は、幅と足入れ深さの両方が効いた結果です。
選ぶときの目安として、クッションの沈み込みを重視するなら574系、足裏の安定感と細身のシルエットを取るなら996系。デメリットも書いておくと、996のC-CAPは厚みのあるフォームではないため、長距離を走る用途には向きません。あくまで街履き前提のモデルとして考えてください。
数字で見る996の内寸と、2年履いた後の伸び
感覚論だけでは決めにくいので、公開されている計測値を見てみます。ウィズD・27.0cmのCM996を計測したメディアの報告では、もっとも幅の広い部分が約9.5cm、足入れ部分の幅が約7cmでした。足囲を測ったときに幅広と判定される人にとって、9.5cmという数字は余裕のある値ではありません。
もうひとつ、996を2年履き続けた検証記事の報告では、履き口は6cm伸びた一方で、つま先と横幅は2mm、甲は伸びなかったとされています。「履いていれば伸びるから、きつめでも大丈夫」という助言は、この数字を見る限り横幅については当てになりません。
この2つを合わせると、実務的な結論が出ます。足入れのしにくさは履くうちに解消するが、横幅のきつさは残る。買うときに「履き口が硬くて入れづらい」だけなら様子を見ていい。「小指の付け根が当たって痛い」なら0.5cm上げるか別モデルを検討する、という切り分けです。
試着で見るべきは「履き口の硬さ」ではなく「小指の付け根の当たり」。前者は2週間ほどの着用で馴染みますが、横幅は2年履いても2mm程度しか変わりません。当たる場所で判断してください。
ウィズ(ワイズ)D・2E・4Eの読み方を先に押さえる

ウィズ(ワイズ/足囲)=足の親指と小指の付け根まわりを一周した長さの規格。ニューバランスは「足長(レングス)だけでなく足囲(ウイズ)でもシューズを選べる」ウイズサイジングを採用しており、同じ26.0cmでもD・2E・4Eで幅が変わります。
メンズとレディースでは、同じ「D」の意味が違う
ここを知らないまま買うと確実に混乱します。ニューバランスのウィズはメンズ・ユニセックスとウィメンズで基準がずれているからです。メンズ・ユニセックスはD(やや細い)/2E(標準)/4E(幅広)/6E(G)(超ワイド)。ウィメンズはB(やや細い)/D(標準)/2E(幅広)/4E(超ワイド)という並びになります。
つまりメンズの「D」はやや細い側ですが、レディースの「D」は標準です。同じ記号でも位置づけが1段ずれています。カップルや親子で「私はDでちょうどよかったよ」と情報交換すると、話がすれ違う原因がここにあります。
実用面では、メンズで996を選ぶ人はほぼ「やや細い」側を履くことになる、と理解しておくのが安全です。注意点として、ウィズ表記は靴のカテゴリやモデルごとに展開が異なります。同じブランドでも「このモデルには2Eがない」ことは普通に起こります。
996には2E以上の幅広設定がないという現実
996のサイズ選びで最大の制約がこれです。メンズ・ユニセックスのCM996はDウィズ中心の展開で、2E以上の幅広設定は用意されていません。商品の品番自体が「CM996NV2(D)」のようにDを含む形で表記されています。
574がDと2Eの2種類から選べるのと対照的で、幅広の人が996を選ぶときは「幅を選ぶ」という手が使えません。だからこそ、幅広・甲高の人は長さで0.5cm調整する、という現実的な回避策に落ち着くわけです。
使い分けの提案としては、足囲を測って明確に幅広だとわかっている人は、996にこだわらず幅の選べるモデルを候補に入れたほうが満足度は高くなります。妥協点として、996のデザインが好きで幅も譲れない場合は、後述するキッズラインのウィズ展開という抜け道もあります。
足囲を測るなら午後。公式の計測サービスも使える
自分がD相当なのか2E相当なのかは、測らないとわかりません。ニューバランスはオフィシャルストアとファクトリーストアで、足の長さ・幅・土踏まずの高さ・左右差を計測するフィッティングサービスを提供しています。3Dスキャンが導入されていない店舗ではウイズサイジング・システムで計測する流れです。詳細はニューバランス公式のウイズサイジング解説ページで確認できます。
測るタイミングにもコツがあります。足は1日の中でむくんで大きくなるため、公式も「足が大きくなる午後に測るとよい」と案内しています。朝いちばんに測った数値でオンライン注文すると、夕方には窮屈に感じる可能性があります。
注意点は、左右差です。多くの人は左右で足長・足囲が異なります。計測では両足を測り、大きいほうの足に合わせるのが基本。小さいほうの足はインソールや靴紐で詰められますが、大きいほうの足を縮めることはできません。
現行の996は4系統。どれを買うかでサイズ感が変わる
CM996V2:迷ったらここ。996の標準形
いま「996」として最も流通しているのがCM996V2です。1988年に登場した初代M996のシルエットを再構築したユニセックスモデルで、CM996自体は2019年7月に登場しました。アッパーはスエードとメッシュの構成(カラーによりシンカレザーとウール混などの派生あり)、ミッドソールはC-CAPの2層構造にPUインソールという組み合わせです。
価格は16,940円(税込)。サイズは22.0cm〜30.0cmを0.5cm刻みで展開しており(カラーにより一部欠番あり)、ウィズはDです。生産はアジアで、後述のMade in USAラインとは価格帯が分かれています。
サイズ感の目安は、この記事の結論どおり「普段どおりを基準に、幅広・甲高なら0.5cm上げ」。注意点は、カラーによってアッパー素材が変わることです。スエード主体のカラーとレザー主体のカラーでは、馴染むまでの時間と幅の当たりが変わります。同じCM996でも色違いで履き心地が完全に同じとは限らない、と考えておいてください。
| サイズ展開 | 22.0〜30.0cm(0.5cm刻み・カラーにより一部欠番) |
| ワイズ(足幅) | D のみ |
| ミッドソール | C-CAP 2層構造+PUインソール |
| 価格(税込) | 16,940円 |

GORE-TEX版とMade in USA:同じ996でも中身が違う
雨の日も履きたい人向けに、GORE-TEXを搭載したCM996XV2があります。スエードとメッシュのアッパーにGORE-TEXファブリクスを組み合わせた全天候仕様で、価格は22,000円程度(時期や販売店により変動)、サイズは22.0cm〜30.0cmの展開です。防水membraneが1枚入るぶん、標準のCM996より足入れがタイトに感じるという声があります。標準のCM996でジャストの人は、同じサイズで試着してから決めるのが安全です。
もうひとつがMade in USA 996(品番U996)。初代M996の系譜を継ぐ米国製ラインで、ミッドソールはENCAP、アッパーはピッグスキンスエードとメッシュ、アウトソールはブローンラバーという構成です。2023年3月に35周年モデルとして展開されたときの税込価格は35,200円程度で、販売店やカラーにより実勢価格は変わります。
サイズ感の面では、CM996のほうが全体的にタイトという整理が一般的です。Made in USAからCM996に乗り換えると幅が狭く感じ、逆にCM996からMade in USAに移ると少し余裕が出る、という関係になります。注意点として、Made in USAは生産数が限られ、欲しいサイズが常に手に入るとは限りません。
レディースとキッズ:ここに幅の抜け道がある
ウィメンズには996のオリジナルデザインを女性向けにシェイプしたW996(WL996系)があり、価格は12,980円(税込)。2層構造ミッドソールとPUインソールという基本構成は共通です。ウィメンズのウィズ基準ではDが標準になるため、メンズ表記の感覚のまま読むと混乱します。
見落とされがちなのがキッズのY996(YV996系)です。17.0cm〜24.0cmのサイズ展開で、価格は7,590円(税込)。注目すべきはウィズで、ニューバランス ジャパンの公式発表によれば、M(やや細い〜標準)とW(標準〜やや幅広)の2種類が用意されています(Wはオフィシャルストア限定・一部カラーのみ)。足長が24.0cm以下で足幅が気になる人にとっては、幅を選べる数少ないルートです。留め方はマジックテープとゴム紐で、靴紐を結ぶ手間もありません。
注意点も書いておきます。キッズラインは成長期の足を想定した設計なので、大人の体重を長期間支える前提ではありません。毎日の通勤で酷使する用途には向かず、休日の街歩き用と割り切るのが現実的です。ニューバランスは同じ「996」の名前でも素材やラインでサイズが変わるブランドで、ローファーラインでも同じことが起きます。

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他ブランドから乗り換える人のニューバランス996 サイズ感 早見表
くつのトリセツ調べ:996と主要モデルのスペック比較
「今履いている靴」を基準にしたほうが決めやすいので、公式スペックをもとに横並びにしました。数値はメーカー公式および正規取扱店の商品情報によるものです。
| 項目 | CM996V2 | ML574 | Made in USA 996 |
|---|---|---|---|
| ラスト(木型) | SL-1(細身) | SL-2(つま先に丸み) | 996系(CM996より余裕あり) |
| ワイズ(足幅) | D のみ | D / 2E | D 中心 |
| ミッドソール | C-CAP 2層 | ENCAP | ENCAP |
| 生産国 | アジア | アジア | アメリカ |
| 価格(税込) | 16,940円 | 13,970円 | 35,200円(変動あり) |
US・UK表記に迷ったときの換算の考え方
並行輸入や海外通販で996を買うと、cm表記ではなくUS・UK表記に出くわします。ニューバランス公式のサイズチャートでは、メンズ・ユニセックスで25.0cm=US7=UK6.5、27.0cm=US9=UK8.5、29.0cm=US11=UK10.5という対応です。ウィメンズは23.0cm=US6=UK4、25.0cm=US8=UK6となります。
ここから読み取れるのは、メンズ・ユニセックスではcmとUSの差が「+2」で安定していること(25.0→US7、27.0→US9、29.0→US11)。この規則を覚えておけば、店頭でUS表記しか出ていないときも暗算できます。ウィメンズはcmとUSの差が「+3」の関係になるので、メンズの感覚をそのまま持ち込まないでください。
注意点として、これはニューバランスの換算です。ブランドが変われば同じUS9でも実寸が変わります。US表記で「いつもUS9だから」と選ぶより、cm表記に戻して考えるほうが失敗が減ります。
実は、996の「履けば伸びる」は横幅には当てはまらない
逆張りの話をひとつ。スニーカー選びでは「きつめを買って伸ばす」という考え方がありますが、996についてはこれを勧めません。前述の2年間の検証で伸びたのは履き口の6cmで、横幅とつま先は2mm、甲にいたっては伸びていません。
意外と知られていないのは、この「履き口だけ伸びる」現象がサイズ判断を狂わせることです。買った直後は足を入れるのに苦労するので「小さいかも」と感じる。ところが1か月ほどで履き口だけが緩み、足入れは楽になる。それでも横幅のきつさは残るため、「馴染んだはずなのに小指がまだ痛い」という状態になります。
この構造がわかっていれば判断は簡単です。試着時に痛むのが「くるぶし周りや履き口」なら買っていい。「小指の付け根や親指の側面」なら、そこは伸びないので別のサイズか別のモデルへ。買ったあとで悩まないための、いちばん実用的な切り分けです。
きつい・大きいと感じたら、返品する前に試せること
靴紐の通し方だけで、甲の当たりは変えられる
0.5cm以内のズレなら、靴紐で吸収できることがあります。手順は次のとおりです。①いったん紐を全部抜く、②つま先側から2〜3段目までを緩めに通す、③足首側の2段を強めに締める、④最上段はかかとが浮かない範囲で止める。甲が当たる人は、当たる位置の段だけ紐を通さず飛ばす「パラレル抜き」も効きます。
効果が出る理由は、996の甲の圧迫が「紐で締めすぎ」に由来しているケースが多いからです。細身の木型なので、他ブランドと同じ力で締めると過剰に圧がかかります。逆にサイズが大きい場合は、足首側をしっかり締めることで前滑りを抑えられます。
注意点は、紐で解決できるのは甲と足首の保持だけということ。小指の付け根の当たりは紐では変わりません。また、締めすぎは血流を妨げるので、指が1本入る余裕は残してください。
インソールでの調整は「薄くする」方向が基本
サイズが大きいときはインソールを足して詰める、という発想になりがちですが、996では慎重に扱うべきです。996の標準インソールはPU製で厚みが控えめなので、そこに厚いインソールを重ねると、足入れ深さが減って甲がきつくなります。幅の問題は解決しないまま、圧迫だけが増える結果になりかねません。
大きいときの現実的な手順は、①まず薄手のインソールに交換して足入れ深さを保つ、②それでも余るならつま先側にハーフインソールを入れる、③かかとが浮くならヒールグリップを貼る、の順です。全面に厚手を敷くのは最後の手段にしてください。
逆にきついときは、標準インソールを薄いものに替えるだけで容積が稼げます。効果は数ミリですが、甲の圧迫だけが問題なら解消することがあります。デメリットは、薄くするとクッション性が落ちること。長時間歩く用途では足裏の疲れが出やすくなります。
失敗パターン②:厚手インソールを入れて逆にきつくなった
実際に起こりやすいのが、この失敗です。996を0.5cm上げて買った人が「少し余るから」と機能性の高い厚手インソールを追加する。すると足入れ深さが減り、甲が押し上げられて、上げたはずのサイズなのに窮屈になります。0.5cm上げた意味が消えてしまうパターンです。
原因は、サイズ調整の方向を取り違えていること。長さが余っているのに厚み(高さ)で埋めようとすると、余りは残ったまま圧迫だけ増えます。対策は、余っているのが「長さ」なのか「高さ」なのかを分けて考えること。長さが余るならつま先側のハーフインソール、高さが余るなら全面の厚手、という使い分けです。
もうひとつ、スエードのアッパーは水と熱に弱い素材です。「お湯で濡らして伸ばす」といった荒業は色ムラや硬化の原因になるので避けてください。スエードの996を長く履くなら、汚れの落とし方も水を使わない方法が基本になります。

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幅広の人が996を諦める前に見ておきたい選択肢
ML574:幅を「選べる」ことの価値
996で幅が合わなかった人の受け皿になるのがML574です。価格は13,970円(税込)で、SL-2ラストによりつま先に丸みがあり、ウィズはDと2Eの2種類から選べます。996に2E以上の設定がないことを考えると、この選択肢の有無は決定的な差です。
ミッドソールはENCAPで、EVAをポリウレタンで包む構造。996のC-CAPと比べると弾力の出方が変わります。サイズ展開は22.5cm〜29.0cmがメインです。足囲を測って2E相当だとわかっている人は、996で長さを上げて妥協するより、574の2Eを素直に選んだほうがフィットの精度は高くなります。
注意点は見た目です。574は996より丸みがあり、ぽってりした印象になります。細身のシルエットを求めて996を検討していた人にとっては、ここが妥協点になります。デザインを取るか幅を取るかの判断です。
1906Rという中間解
もうひとつの候補がM1906Rです。2000年代のランニングシューズ「1906」を再構築した現行モデルで、アッパーはシンセティックレザーとメッシュ、ミッドソールにはABZORBを搭載しています。996と比べて全体的にゆとりがあるという評が多く、幅で困っている人の中間解になります。
996ほど細くはないが574ほど丸くもない、というポジションです。ボリュームのあるソールなのでシルエットは996より大きく見えますが、近年のワイドパンツやテーパードパンツとは相性が取りやすい形です。
注意点として、1906Rは価格が販売店ごとに幅があります。定価だけを見て判断せず、正規取扱店の現在価格を確認してから決めてください。また、ソールにボリュームがあるぶん重量は996より増えます。軽さを重視するなら996系のほうが向きます。
| あなたのタイプ | 選ぶモデルとサイズ | その理由 |
|---|---|---|
| 足幅は標準・細身が好き | CM996V2/普段どおり | SL-1ラストの細身がそのまま活きる |
| 幅広・甲高だが996が好き | CM996V2/0.5cm上げ | 幅を選べないぶんを長さで補える |
| 足囲が明確に2E以上 | ML574/2Eで普段どおり | 幅そのものを選べる数少ないモデル |
| 雨の日も同じ靴で通したい | CM996XV2/試着推奨 | 防水層のぶん足入れが変わる |
| 足長24.0cm以下で幅が気になる | Y996/Wウィズ | 大人ラインにない幅が選べる |
試着できない人のための、失敗確率を下げる買い方
近くに実店舗がない場合は、買い方そのものを変えるのが有効です。ニューバランス公式オンラインストアは、室内での試着かつ未使用に限り出荷日から14日以内の申請で返品できます。ただしサイズ交換の制度はなく、返品してから再注文する流れです。
この仕組みを踏まえると、候補が2サイズに絞れている人は「2足注文して、合わないほうを返品」が最短ルートになります。1足ずつ試すと、返品→返金→再注文で2週間近くかかることもあります。
注意点は返品条件です。タグ・靴箱・シューズの詰め物・商品を入れている袋などの付属品を保持しておく必要があり、屋外で1歩でも履くと返品できません。玄関のたたきではなく、床の上で試すようにしてください。
まとめ:996のサイズは「幅で決めて、長さで微調整する」
最初の一歩は、いちばん地味で効く作業から始めてください。午後の時間帯に、両足の足長を紙の上で測ること。左右差が出たら大きいほうの数字を採用します。この1つの数値があるだけで、「ワンサイズ上げるべきか」という迷いは「自分の実寸に対して何cmの靴を選ぶか」という計算に変わります。
そのうえで、幅が気になるなら足囲も測る。ニューバランスのオフィシャルストアやファクトリーストアでは、足の長さ・幅・土踏まずの高さ・左右差を計測してもらえます。自分がD相当なのか2E相当なのかがわかれば、996でいくのか574に切り替えるのかは自動的に決まります。996のシルエットが好きで、足幅も標準——この2つがそろっている人にとって、CM996V2は普段どおりのサイズで買っていいスニーカーです。
※価格・サイズ展開・在庫は変動します。購入前に各メーカー・販売店の公式サイトで最新情報をご確認ください。足の痛みや変形が気になる場合は、靴での対処を続けずに専門医へご相談ください。

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