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買ったときのまま、なんとなく紐を通して履いているブーツ。歩いていると甲だけが妙に痛かったり、駅に着く頃にはかかとが浮いてカポカポしたり、気づけば片方だけ紐がほどけていたり。ブーツが悪いわけでも、サイズが間違っているわけでもなく、原因が紐の通し方ひとつということは珍しくありません。
先に結論をお伝えします。ブーツ紐の通し方は「穴の下から通すアンダーラップ」と「穴の上から通すオーバーラップ」の2種類が基本で、この2つは見た目の違いではなく足にかかる圧の強さが違うものです。長く歩く日は圧のやわらかいアンダーラップ、緩みを止めたいならオーバーラップ。そのうえで、フック付きのブーツなら「つま先側から順に締めて、フックは引いてから掛ける」という手順を守るだけで、履き心地は驚くほど変わります。
この記事では、2種類の基本の通し方の手順から、甲の痛み・かかとの浮きといった悩み別のアレンジ、ホール数に合った紐の長さの選び方、余った紐の始末、ほどけない結び方までを順番に整理します。ブランド公式サイトで確認できた情報だけを使い、道具も特別なものは使いません。今履いているブーツを一度全部ほどくところから始められる内容です。
・アンダーラップとオーバーラップの手順と、ブーツでの使い分け
・フック付きブーツで緩まない締め方の順番
・甲の痛み・かかと浮き・幅広に効く紐の通し方アレンジ
・ホール数別の紐の長さの目安と、余った紐の始末
ブーツ紐の通し方は「下から」「上から」の2択から始まる

靴屋の売り場で紐の相談をされたとき、最初に確認するのがこの2択です。難しいテクニックの前に、この基本を選び直すだけで解決してしまう悩みがかなりの割合を占めます。
変わるのは見た目より、足にかかる圧の強さ
紐の通し方で最初に変わるのは、締めたときに甲へかかる圧の強さです。穴の下から紐を出すアンダーラップは、紐が甲の上を通るときにハトメの縁で押さえつけられる部分が少なく、締めても圧が分散します。逆に穴の上から下へ通すオーバーラップは、紐が交差する点でハトメに押しつけられるため、同じ力で引いても足に食い込む感覚が強く出ます。
コンバースの公式解説でも、アンダーラップは「オーバーラップよりも足への圧力が少なく、長時間履くのに適した結び方」と説明されています。一方のオーバーラップは締まりがよく緩みにくいのが持ち味で、ミズノの公式マガジンでは野球のスパイクでオーバーラップが一般的だと紹介されています。競技用シューズで使い分けられているものが、そのままブーツにも当てはまると考えてください。
ブーツは足首まで包む構造上、スニーカーより紐の段数が多く、圧のかかり方の差が積み重なります。3段しかないスニーカーでは気づかない違いが、8段のブーツでは通勤1往復ぶんの疲れの差になって出てきます。ただし、どちらかが正解というものではありません。ホールドが欲しい人がアンダーラップにすると「緩む」という別の不満に変わるだけなので、自分の悩みから逆算して選ぶのが前提です。
ハトメ=紐を通す穴に付いた金具のこと。フック(スピードフック)=履き口側にある、紐を引っかけるカギ状の金具。タン=甲の上にくるベロ状の革。この3つの名前がわかると、通し方の説明が一気に読みやすくなります。
アンダーラップの手順は5ステップで終わる
アンダーラップは、下から上へ通し続ける通し方です。コンバース公式の手順に沿って書くと、①つま先側の左右の穴に上から靴ひもを通し、出てきた紐の長さを左右均等に揃える、②足の内側にきた靴ひもを外側の穴へ下から通す、③足の外側にきた靴ひもを内側の穴へ下から通す、④②〜③を繰り返す、⑤最後に蝶々結びをして完成、という5ステップになります。
ポイントは④で、外側から内側へ向かう紐が上に重なる形で揃うところです。ここが揃っていると、正面から見たときに紐の重なりが一定のリズムで並び、通し間違いも一目でわかります。左右で重なりの向きが逆になっているブーツは、片足だけ締まり方が違うので疲れ方にも差が出ます。
向いているのは、朝から晩まで履きっぱなしの日、立ち仕事、旅行や観光で歩き続ける日です。甲が薄くて紐を強く締めがちな人にも合います。注意点は、圧が分散するぶん足首側の固定が弱く感じられること。ワークブーツで重い荷物を運ぶ場面や、下りの多い道では、この後で紹介するハイブリッドにして上段だけ締まりを強くする調整が要ります。コンバース公式も最後に「靴ひもがねじれないように注意する」と添えていて、平紐のブーツではこのねじれが見た目にも履き心地にも効いてきます。
オーバーラップは締まり重視。緩むのが悩みならこちら
オーバーラップは、穴の上から下へ紐を落としていく通し方です。紐が交差する点でハトメの上をまたぐため、引いたテンションがその段で止まりやすく、下の段まで緩みが逃げていきません。歩いているうちにいつの間にか紐がゆるんでいる、という人はこちらに変えるだけで改善することがあります。
ミズノの公式マガジンでは、野球スパイクはオーバーラップで紐を通すのが一般的と紹介されています。踏み込みや切り返しで足が靴の中で動くと困る競技で選ばれている、と考えるとイメージしやすいはずです。ブーツでいえば、足場の悪い場所を歩く日、荷物を持って階段を上り下りする日、革が馴染んで少し緩くなってきた履き込んだ一足に向いています。
デメリットもはっきりしています。締まりが良い分、力任せに引くと甲の一点に圧が集まり、数時間で甲が痛くなります。特に甲高の人がオーバーラップで全段を強く締めると、痛みが出やすい組み合わせです。締めるときは指1本が入るくらいの余裕を残し、痛みが出る段だけ緩めるのが現実的な使い方になります。
あなたのブーツはどっち?2つの通し方の選び分け
ここからは実際の選び分けです。ブーツの種類ではなく、その日の予定と、いま感じている不満から選ぶのが失敗の少ないやり方です。
歩く時間が長い日はアンダーラップに寄せる
1日1万歩を超えるような日、旅行や現場仕事の日はアンダーラップが基本です。足は夕方に向かってむくむため、朝ちょうどよく締めたブーツは夕方には窮屈になります。圧が分散するアンダーラップなら、そのむくみぶんを紐全体で吸収でき、途中で結び直す回数が減ります。
根拠はシンプルで、コンバース公式が説明する「足への圧力が少なく、長時間履くのに適した」という性質そのものです。ブーツは段数が多いぶん、この差が甲の広い範囲に効いてきます。革が硬いワークブーツやマーチンのような厚みのあるアッパーでも、通し方を変えるだけなら費用はゼロで、今すぐ試せます。
使い分けの目安としては、通勤や外回りのように歩く時間が読める日はアンダーラップ、脱ぎ履きが多い日もアンダーラップ。逆に、雪道や不整地を歩く日、足首を固定したい日はオーバーラップ寄りにします。注意点は、緩めのアンダーラップのまま長い下り坂を歩くと、つま先が前に滑って爪が当たること。下りが多い日は足首側だけしっかり締める調整を足してください。
かかとが浮く・脱げそうならオーバーラップへ
歩くたびにかかとが浮く、階段でカポカポ鳴る、という不満はオーバーラップの出番です。緩みが下の段へ逃げにくい構造なので、足首側で作った締め付けがそのまま残ります。特に履き込んで革が伸びてきたブーツや、ワンサイズ大きめを買ってしまった一足の応急処置として効きます。
ただし、かかとの浮きが1cm以上あるような場合は紐だけでは解決しません。インソールを1枚足して足の位置を持ち上げる、タンパッドで甲を押さえるといった対策と組み合わせるほうが早いです。紐でできるのは「足が前に滑るのを止める」ところまでで、サイズそのものの差は埋められないと考えてください。
もうひとつ、オーバーラップは紐とハトメの摩擦が強く、平紐だと角が当たって毛羽立ちが早く出ます。ワックスコットンの平紐を使っているなら、締めるときに一段ずつ丁寧に引くほうが結果的に紐が長持ちします。

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上下で切り替える「ハイブリッド」が実は一番使える
意外と知られていないけれど、ブーツで一番実用的なのは全段を統一しない通し方です。つま先側の下半分をアンダーラップにして甲の圧を逃がし、足首側の上半分をオーバーラップにして固定を効かせる。この上下切り替えが、甲の痛みと かかとの浮きという相反する悩みを同時に処理してくれます。
理屈は単純で、甲の痛みは下段〜中段の圧が原因、かかとの浮きは上段の固定不足が原因と、発生する場所が違うからです。1本の紐でも段ごとに通し方を変えられるので、痛みの出る段だけアンダーラップに切り替える、という部分修正もできます。切り替え位置は甲の一番高いところの1段上が目安になります。
向いているのは、8ホール前後の紐段数が多いブーツ。逆に3〜4ホールのチャッカブーツでは段数が足りず、切り替える意味があまりありません。注意点は、左右で切り替え位置がずれると片足だけ締まり方が違ってしまうこと。最初に切り替える段を決めて、両足で同じ段から変えるようにしてください。
| 項目 | アンダーラップ | オーバーラップ | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| 通す向き | 穴の下から上へ | 穴の上から下へ | 下段は下から/上段は上から |
| 甲への圧 | やわらかい | 強く出やすい | 下段だけ弱められる |
| 緩みにくさ | やや緩みやすい | 緩みにくい | 足首側で止められる |
| 向いている日 | 長時間歩く日・脱ぎ履きが多い日 | 不整地・階段が多い日 | 段数の多い8ホール前後のブーツ |

失敗パターン①:全段オーバーラップで甲が痛くなる
売り場でよく聞くのが「新しいブーツを買って、しっかり締めたら1日で甲が痛くなった」という話です。原因の多くは、全段をオーバーラップで通したうえで、革が硬いうちに強く引いてしまったこと。オーバーラップは締まりが残る通し方なので、締めた力がそのまま甲に居座り続けます。
対策は3つです。①甲の一番高い段だけアンダーラップに変える、②その段の紐を1本飛ばして通さない「窓抜き」にする、③そもそも締める順番を見直す。特に③は次の見出しの内容と直結します。革が馴染む前の1〜2か月は、締め具合を弱めにしておくのが無難です。
ありがちなのは、痛いからといってサイズを大きいものに買い替えてしまうケース。大きくすると今度はかかとが浮き、靴擦れの原因になります。痛みが出た段階でまず疑うのは、サイズではなく通し方と締め方の順番です。

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フック付きブーツで見落とされがちな締め方の順番

ワークブーツや登山靴に付いているカギ状の金具、スピードフック。ここの扱いは自己流になりやすく、しかも間違えると金具が壊れます。登山靴メーカーの公式ガイドが手順を明記しているので、それに沿って整理します。
締める順番はつま先側から。ここを飛ばすと甲だけ締まる
キャラバンの公式フィッティング解説では、まず「つま先の方まで靴紐を緩めます」、次に「靴紐を緩め登山靴に足を入れたら、かかとを床に『トントン』させてヒールカップにしっかり収めます」、そして「つま先側から、靴紐がクロスしている部分をひとつひとつ引っ張り、順番に締め上げていきます」と手順が示されています。
この順番が大事な理由は、紐のテンションが下の段から順に決まっていくからです。上だけ引いて締めたブーツは、下段が緩いまま足首だけ締まった状態になり、歩くと足が前に滑ります。つま先が靴の先端に当たる、甲の一部だけ食い込む、といった不快感の多くはここから来ています。
実際にやってみると、履くたびに10秒ほど余計にかかります。ただ、朝の10秒で夕方の足の疲れが変わるなら安いものです。脱ぐときも、上から順にフックを外して下段まで緩めてから脱ぐと、かかとの革が折れず型崩れも防げます。面倒でも、履くとき脱ぐときの両方で紐を扱うのが、ブーツを長持ちさせる基本動作です。
フックは「引いてから掛ける」。掛けてから引くと壊れる
フック部分でいちばん多い間違いが、先にフックへ紐を掛けてから引っ張ることです。キャラバン公式は「足首のところになったら足首に沿うように靴紐を一旦、後ろ側に引いてからフックに引っかけます」とし、フックに引っかけてから靴紐を引くのはNGで、摩擦抵抗でうまく締まらないだけでなく、無理な力が加わることでフックが破損する恐れがあると注意しています。
つまり手順は、足首に沿わせて紐を後ろへ引いてテンションを作る→そのテンションを保ったままフックへ掛ける、の順です。掛けてから引くと、金具の根元に横方向の力がかかります。フックはリベットで留まっているだけの小さな金具なので、この力の繰り返しで緩んだり、根元から折れたりします。
フックが壊れると修理は靴修理店に出す話になり、紐の掛け方ひとつで避けられたはずのコストが発生します。加えて、掛けてから引く癖は紐そのものも傷めます。金具の角と紐が擦れ続けるため、フックの位置だけ紐が毛羽立って切れる、という切れ方をします。
最後にタンを前へ押し出すと、履き口の圧が消える
締め上げたあと、キャラバン公式が最後に挙げているのが「最後にタンを前方へ押し出します。このひと手間で、履き口まわりの圧迫感が軽減されます」という手順です。締めるときにタンが後ろへ引き込まれてシワが寄ると、そのシワが足首の前側に当たって痛みになります。
やり方は、締め終わったあとにタンの上端を指でつまんで、まっすぐ前(つま先方向)へ押し出すだけです。数秒で終わりますが、足首前面の当たりが変わるのがすぐわかります。革が厚いワークブーツや、タンにパッドの入った登山靴ほど効果を感じやすい調整です。
逆に、タンが左右にずれたまま締めているブーツは、片側だけ紐が食い込みます。締める前にタンを真ん中に合わせておく、というひと手間もセットで覚えておくと確実です。
失敗パターン②:脱ぐとき紐を緩めず、履き口が伸びる
もうひとつ多いのが、紐を結んだまま足を抜いて脱ぐ癖です。かかとを踏むように無理やり脱ぐと、履き口の革が外側へ引っ張られ、少しずつ広がります。広がった履き口はいくら紐を締めてもフィットせず、最終的にかかとが浮くブーツになります。
原因は単純に手間を惜しむことなので、対策も単純です。脱ぐときは足首側の2〜3段だけでも緩める。フックがあるブーツなら上2段のフックを外すだけで足はすっと抜けます。玄関に腰かける場所を作っておくと、この動作が習慣になりやすいです。
広がってしまった履き口は元に戻りません。革の伸びは戻らないので、シューキーパーで形を保ちながら使い続けるか、修理店に相談するかの二択になります。だからこそ、脱ぐときの数秒が効いてきます。
甲が痛い・かかとが浮く|悩み別のブーツ紐の通し方アレンジ
基本の2種類とフックの扱いを押さえたら、次は部分的なアレンジです。どれも紐1本でできて、道具はいりません。
甲が痛いなら、痛い段だけ紐を通さない
甲の一点が痛むときに効くのが、痛みの出る段をあえて飛ばす通し方です。左右のハトメを交差させず、同じ側の穴へ縦にまっすぐ紐を通し、次の段からまた交差に戻します。交差がない段は紐が甲の上を横切らないので、その一点だけ圧が抜けます。
甲が高い人、足の甲に骨の出っ張りがある人、ブーツを買ったばかりで革が硬い人に向いています。革が馴染んでくれば通常の通し方に戻せるので、履き慣らし期間の一時的な処置としても使えます。左右で痛む位置が違うことも多いので、片足だけ飛ばす段を変えても構いません。
注意点は、飛ばす段が増えるほど全体のホールドが落ちること。飛ばすのは1段、多くても2段までにして、そのぶん足首側をしっかり締めてバランスを取ります。なお、痛みやしびれが続く場合は紐で調整できる範囲を超えている可能性があるので、無理を続けず専門医に相談してください。
かかとが浮くなら、最上段でループを作って締める
かかとの浮きに効くのが、いちばん上のハトメで輪を作る通し方です。左右それぞれ、最上段の穴に同じ側から紐を通して小さな輪を残し、反対側の紐先をその輪にくぐらせてから結びます。輪が紐を挟み込む形になり、足首の締め付けが下へ逃げません。
ハトメが最上段まである8ホールのブーツで使いやすく、フック式のブーツでも上2段のフックで似た効果が作れます。かかとが浮くと足が前に滑り、つま先や小指が当たる原因にもなるので、つま先の痛みで悩んでいる人が試して当たりを引くこともあります。
デメリットは、足首まわりの締め付けが強くなること。結び目のすぐ下がきつく感じる人は、輪を作る段を1つ下げると当たりが和らぎます。また、この通し方は締めたまま脱ぐのが難しいので、脱ぐときは必ず緩めてから足を抜いてください。
足幅が広いなら、下段は緩く・上段でホールドする
足幅が広い、小指の付け根が当たるという悩みは、下段を締めすぎていることが原因になりがちです。つま先側の1〜2段はほとんど締めず、紐を通すだけにしておき、中段から上でホールドを作ります。足の前半分が横に広がるスペースを残すイメージです。
この調整が効くのは、ブーツのワイズが足に対して少し細い場合。ただし紐で作れる余裕には限界があり、足に対して明らかに細い木型のブーツを幅出しなしで履き続けると、痛みも革のシワも増えます。紐で改善しきれないときは、靴修理店で幅出し(ストレッチ)を相談するのが現実的です。
注意点は、下段を緩くしたぶん足が前に動きやすくなること。上で紹介した最上段のループと組み合わせて、前滑りを止めるセットで使うと安定します。
| 悩み | 試す通し方 | 合わせたい調整 |
|---|---|---|
| 甲の一点が痛い | 痛む段を交差させず縦に通す | その段以外はアンダーラップ |
| かかとが浮く | 最上段で輪を作って締める | インソールを1枚足す |
| 足幅が当たる | 下段を緩め、中段から締める | 改善しなければ幅出しを相談 |
| 歩くと緩む | 上段だけオーバーラップ | 結び方をイアンノットに変更 |
実は、締めるほどフィットするわけではない
意外と知られていないのですが、紐を強く締めるほど足が安定するわけではありません。強く締めると足の甲の血流と腱の動きが制限され、歩くたびに足が反発してかえって靴の中で暴れます。締めた直後は固定されている感覚がありますが、30分歩くと痛みだけが残るのはこのためです。
目安は、締めたあとに甲の紐の下へ指が1本すっと入るくらい。それでかかとが浮かないなら、締め方ではなく通し方で固定を作れている状態です。逆に、指が入らないほど締めないと安定しないブーツは、サイズかインソールの問題を疑ったほうが早いです。
もうひとつ、締める強さは段ごとに変えていいものです。全段を均一に締める必要はなく、痛む場所は緩く、止めたい場所は強く。紐は1本でも、段ごとに違う仕事をさせられると考えると調整の幅が一気に広がります。
長さを間違えると通し方が台無しになる|ホール数別の紐選び
通し方を変えても解決しないときは、紐の長さが合っていない可能性があります。短すぎれば足首側を締められず、長すぎれば毎回持て余します。ここはブランド公式が目安を明記しているので、そのまま使うのが確実です。
ハトメ3〜5なら36インチ、6〜7なら48インチが目安
レッドウィング公式サイトの表記では、36インチ(約90cm)のタスランレースが「ハトメ数が3-5程度の靴に適合」、48インチ(約120cm)が「ハトメ数が6-7程度のブーツに適合」とされています。チャッカやポストマンのような段数の少ない靴は36インチ、ワークブーツの多くは48インチ、という分け方です。
この目安が便利なのは、ホール数を数えるだけで判断できる点です。片足のハトメを上から数えて、6〜7段あれば48インチ。フック式の場合はフックも1段として数えると近い長さになります。長さが合っていれば、締めたあとに残る紐は結び目の左右に手のひら1つぶん程度になります。
注意したいのは、同じホール数でも通し方で必要な長さが変わること。オーバーラップやハイブリッドは紐の消費が増え、最上段でループを作る通し方はさらに長さを食います。ぎりぎりの長さで買うと、アレンジを試した途端に足りなくなるので、迷ったら長いほうを選ぶのが無難です。
8ホール・10ホールのブーツは140cm前後を選ぶ
マーチンのような段数の多いブーツは、ブランド公式の指定に従うのが早道です。ドクターマーチン公式オンラインショップの140cmシューレースは、「140センチは8ホールブーツ、10ホールブーツ等にご使用いただける長さです」と説明されており、素材はポリエステル100%、価格は880円です。
8ホールと10ホールで同じ長さが使えるのは、10ホールでは残る紐が短くなるぶん、足首に巻く余裕が減るという違いになります。10ホールで足首に一周巻きたい人は、もう少し長い紐を選ぶことになります。逆に8ホールで140cmだと余りが多いと感じる人もいるので、余った紐の始末は次の章の方法で処理します。
レッドウィング公式のラインナップでは、63インチのタスランレースが990円、48インチ・60インチのフラットワックスレースが1,100円、72インチのレザーレースが2,200円で並んでいます。段数の多いブーツや、足首に巻きたい場合の選択肢として押さえておくと選びやすくなります。
丸紐と平紐、ワックスあり・なしで使い勝手が違う
形状も履き心地に影響します。丸紐は結び目が小さくまとまり、ハトメの中で滑るので締めやすいのが持ち味。レッドウィングのタスランレースはナイロン製の丸紐で、48インチ・ブラック/ブラウンが880円です。ナイロンは水濡れに強く、雨の日に履くブーツと相性がいい素材です。
一方の平紐は、面で当たるぶん甲への当たりがやわらかく、締めた状態が保たれやすいのが特徴です。レッドウィングの48インチ フラットワックスレース ブラック(スタイルナンバー97155)は、ワックス加工を施したコットン製の平紐で、価格は1,100円、Made in USAと公式に記載されています。ワックス加工があると紐同士の摩擦が増え、緩みにくくなります。
選び方としては、締めやすさと乾きやすさを取るなら丸紐、緩みにくさと見た目の落ち着きを取るならワックス平紐。デメリットは、ワックス平紐は使ううちにワックスが落ちて表情が変わること、そしてハトメとの摩擦が強く角から毛羽立ちやすいことです。ここは好みと手入れの許容量で決めて構いません。
| 製品 | 長さ | 素材・形状 | 対応 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| 36″ Taslan Laces Tan/Gold | 36インチ(約90cm) | ナイロン/丸紐 | ハトメ3〜5程度 | 880円 |
| 48″ Taslan Laces Black/Brown | 48インチ(約120cm) | ナイロン/丸紐 | ハトメ6〜7程度 | 880円 |
| 48″ Flat Waxed Laces Black | 48インチ(約120cm) | ワックスコットン/平紐 | ハトメ6〜7程度 | 1,100円 |
| 140cm シューレース | 140cm | ポリエステル/丸紐 | 8・10ホール | 880円 |
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余った紐はどう始末する?だらしなく見えない3つの方法
正しく通しても、余った紐がぶらぶらしていると足元の印象は締まりません。踏んで転ぶ危険もあるので、始末の方法まで含めて通し方だと考えてください。
足首に一周巻いて前で結ぶ
いちばん簡単なのが、締め終わった紐を足首の後ろへ回して一周させ、前に戻して結ぶ方法です。余りが手のひら2つぶん以上あるときに向いていて、巻いたぶん紐が短くなるので結び目もコンパクトにまとまります。ワークブーツやレースアップブーツで定番の始末です。
効果は見た目だけではありません。足首に紐が一周することで足首まわりのホールドが増え、かかとの浮きが軽くなることがあります。パンツの裾をブーツにインするスタイルでは、巻いた紐が見えるので足元のアクセントにもなります。
注意点は、きつく巻くと足首の可動が制限されて歩きにくいこと。巻きは「添える」程度にして、締め付けは紐本体の段で作るようにしてください。また、巻くぶん紐が引っ張られるので、長さがぎりぎりの紐では届きません。
結び目を作らず、履き口の内側に押し込む
結んだあとの輪と余りを、履き口とタンの間に押し込んでしまう方法もあります。見た目がすっきりし、紐を踏む心配もなくなります。10ホールのように段数が多く、結び目の位置が高いブーツで使いやすい始末です。
ただし、押し込んだ紐が足首の前に当たると痛みの原因になります。結び目そのものを押し込むのではなく、余った先端だけを内側へ沿わせるようにするとうまく収まります。厚手のソックスと組み合わせると当たりも和らぎます。
もうひとつの注意点は、押し込むと紐が湿気を含みやすくなること。雨の日に履いたあとは押し込んだ紐を出して、ブーツと一緒に乾かしてください。濡れたまま押し込んだ状態が続くと、紐も履き口の革も傷みます。
そもそも長さを見直すのがいちばん早い
毎回の始末が面倒なら、紐の長さ自体を1段階短くするのが根本的な解決です。ホール数の目安に対して明らかに長い紐を使っていると、どんな始末をしても余りは出ます。ハトメ6〜7段のブーツで足首に巻かない人なら、公式の目安どおり48インチ(約120cm)に合わせるのが基本形です。
短くする効果は始末の手間だけではありません。余りが減ると紐を踏むリスクが下がり、結び目が小さくなるぶんパンツの裾に引っかかりにくくなります。自転車に乗る人はチェーンへの巻き込みも減ります。
注意点は、短くしすぎると最上段まで締められなくなること。特に最上段でループを作る通し方や、足首に巻く始末をしている人は、短い紐に変えるとそのアレンジができなくなります。今の通し方を続けるか、始末を優先するかを決めてから選んでください。
ほどけない結び方と、紐を長持ちさせる扱い方
通し方が決まったら、最後は結び方です。せっかく整えても、途中でほどけて結び直すたびに締め具合はリセットされてしまいます。
ほどけにくさで選ぶならイアンノット
ミズノの公式マガジンでは、ほどけにくい結び方としてイアン結び(イアンノット)が紹介されており、「プロのスポーツ選手なども使っている結び方で、慣れると素早く、そしてほどけにくく結ぶことができます」と説明されています。蝶々結びと同じく左右に輪を作りますが、その輪を互いにくぐらせて締めるため、結び目が縦にねじれにくくなります。
蝶々結びがほどけるのは、結び目が縦向きになったまま締められていることが原因になりがちです。イアンノットは左右対称に締まるので、結び目が横向きに安定します。慣れると蝶々結びより速く結べるので、毎朝の数秒も惜しい人ほど覚える価値があります。
向いているのは、丸紐でよく緩む人、通勤で長く歩く人。注意点は、最初の数回は手順に迷って時間がかかること、そして固く締まるぶんほどくときにひと手間かかることです。急いで脱ぐ場面が多い人は、次に紹介する結び方と使い分けてください。
もっと固くしたいならベルルッティ結び・イアンセキュア結び
同じミズノ公式の解説では、ほかにも「蝶々結びの中にさらに輪を入れる結び方」「ベルルッティ結び」「イアンセキュア結び」が挙げられています。ベルルッティ結びは「蝶々結びの輪をつくる前、通常は1回しか結びませんが、ベルルッティ結びでは2回結びます」というもので、最初の交差を2回にするだけで緩みがぐっと減ります。
イアンセキュア結びは「イアン結びよりも固く結べる方法」と説明されており、ほどけにくさを最優先したいときの選択肢です。ワックス加工のない滑りやすい丸紐や、走ることがある日に向いています。
デメリットは共通していて、固く結べるものほどほどきにくいこと。1日に何度も脱ぎ履きする人が固い結び方を選ぶと、そのたびに手間が増えます。脱ぎ履きが多い日は蝶々結び+アンダーラップ、歩き通す日はイアンノット+オーバーラップ、というように日ごとに変えるのが実用的です。
紐は消耗品。切れる前に替えるのが結局いちばん安い
紐は靴の中でもっとも早く傷む部品です。ハトメやフックの金具と擦れ続けるため、同じ位置ばかりが細くなり、ある日突然切れます。出先で切れると結び直しもできず、その日の履き心地は諦めるしかありません。
チェックの目安は、紐の一部だけ細くなっていないか、毛羽立って毛玉のようになっていないか、先端の金具(アグレット)が取れていないか。1か所でも当てはまれば交換時期です。純正のレースは880円前後から用意があるので、傷んだ紐を使い続けるより先に替えるほうが結果的に安く済みます。
長持ちさせる扱い方は3つ。①脱ぐときに緩めて、無理な力をかけない、②濡れたら押し込まずに乾かす、③フックは引いてから掛ける。どれもこの記事で出てきた基本動作で、紐を守る動作はそのままブーツ本体を守る動作でもあります。

お気に入りのスニーカーや革靴を履こうとした瞬間、あるいは歩いている最中に「プツッ」と靴紐が切れてしまった経験はありませんか。片方だけ切れてしまうと予備の紐もなく…
替え紐を買う前に、①今の紐の長さ(ハトメ何段のブーツか)、②丸紐か平紐か、③今の通し方を続けるか、の3点を確認してください。特に足首に巻く始末や最上段のループを使っている人は、目安より長めを選ばないと同じ通し方ができなくなります。
まとめ:ブーツ紐の通し方は「圧の配り方」を決める作業
今日の一歩は、玄関のブーツを一度いちばん下まで全部ほどくことです。そこから、かかとをトントンと合わせ、つま先側から一段ずつ引き上げて締め直す。それだけで、今まで甲が痛かった理由やかかとが浮いていた理由が、紐の締め方の順番にあったとわかる人は多いはずです。そのうえで、痛む段は交差させずに縦へ、緩む足首側は上から通す、と1段ずつ調整していけば、同じブーツのまま履き心地は変えられます。
紐の長さや形状を変えるのはその後で構いません。通し方を決めてから必要な長さがわかるので、順番はこちらのほうが失敗しません。
※価格・仕様は記事作成時点の各ブランド公式サイトの情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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